2002 Fiscal Year Annual Research Report
テーラーメードカーボンゲルを用いた高効率エネルギー貯蔵法の開発
Project/Area Number |
14350416
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田門 肇 京都大学, 工学研究科, 教授 (30111933)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 哲夫 京都大学, 工学研究科, 助手 (50243043)
向井 紳 京都大学, 工学研究科, 助教授 (70243045)
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Keywords | カーボンゲル / レゾルシノール / ホルムアルデヒド / 凍結乾燥 / マイクロ波乾燥 / エアロゲル / クライオゲル / メソ細孔 |
Research Abstract |
ゾルーゲル重合反応において、溶液中に形成されるカーボンゲルの前駆体となる一次粒子の成長過程を光散乱法を用いて追跡した。重合条件を変化させて実験を行った結果、一次粒子の成長速度と動的光散乱法の緩和時間が示唆する架橋開始時間は、触媒濃度に強く影響されることが明らかとなった。また、ゲル化した溶液(湿潤ゲル)を超臨界乾燥して作製されるエアロゲルのメソ細孔特性は、架橋開始時間における一次粒子径に依存することが示された。 カーボンゲルは上述の一次粒子が凝集して形成される。これら一次粒子の間隙がメソ細孔となる。メソ細孔の大きさ及び容積はカーボンゲル前駆体である湿潤ゲルの乾燥法に大きく依存する。乾燥法及び乾燥条件がカーボンゲルのメソ細孔性に及ぼす影響について検討したところ、まず、乾燥前に溶媒をt-ブタノールに置換することで、乾燥時の収縮が抑制され、メソ細孔が発達しやすいことが明らかとなった。また、マイクロ波乾燥と熱風乾燥を利用して作製したカーボンゲルの細孔特性を凍結乾燥法を利用して作製されたものと比較したところ、熱風乾燥ではメソ細孔を発達させることは困難であるが、マイクロ波乾燥を利用した場合には、乾燥ゲルではメソ細孔を発達させることが可能であり、条件によっては炭化後もメソ細孔性が維持されることが明らかとなった。これら三つの乾燥法を使い分けることで、カーボンゲルの二次構造であるメソ細孔を広い範囲にわたって制御することが可能である。 カーボンゲルの用途を考えると、これを微粒子状に成型する技術の確立は不可欠である。そこで、レゾルシノールとホルムアルデヒドをエマルション中で重合させた後、凍結乾燥し不活性雰囲気中で炭化したところ、カーボンゲル微粒子を作製することに成功した。得られたカーボンゲル微粒子は、比較的緻密な表面層と50nm程度の一次粒子が集まった内部から構成されていることがわかった。さらに、合成条件を変えることで、メソ細孔の発達したカーボンゲル微粒子や、エタンや二酸化炭素が侵入できないようなミクロ細孔が表面に存在するカーボンクライオゲル微粒子が作製可能であることがわかった。来年度は、前者のタイプの微粒子をキャパシターの電極材料に、後者のタイプの微粒子をリチウムイオン電池の負極材料へ適用する予定である。
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