2003 Fiscal Year Annual Research Report
カリックスアレーン化合物によるタンパク質の選択的分離と表面修飾による機能制御
Project/Area Number |
14350419
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
井上 勝利 佐賀大学, 理工学部, 教授 (90039280)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 達也 佐賀大学, 理工学部, 助手 (00343335)
大渡 啓介 佐賀大学, 理工学部, 助教授 (70243996)
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Keywords | カリックスアレーン / タンパク質 / 抽出 / 分離 / 酵素 / 有機媒体中での酵素反応 / シトクロムc / 分子認識 |
Research Abstract |
本年度は、第一にタンパク質のアルギニン残基認識が期待されるカリックス[6]アレーンアミド誘導体の抽出能力評価を行った。酸性条件下、過塩素酸イオン存在下においてモデル抽出種である有機グアニジニウム化合物の抽出が確かめられたが、期待されたゲスト選択性は得られなかった。本抽出剤による抽出機構の解明やタンパク質の抽出は今後の検討課題である。 第二にカリックスアレーン化合物によって有機媒体に可溶化したシトクロムcの酸化還元酵素としてのペルオキシダーゼ活性について検討した。まずN,N-ジメチルアニリンの脱メチル化反応について生成物を確認したが、反応の定量的議論は困難であった。次に同じ触媒反応系によるo-フェニレンジアミンの酵素触媒重合を検討し、最適な条件で重合体の生成を確認できた。以上の様にシトクロムcが有機溶媒中で酵素触媒として多彩な反応に寄与できることが確認できた。酵素重合については次年度さらに詳細な検討を行いたい。 第三にカリックスアレーン誘導体によるドーパミンなどの神経伝達物質の認識・抽出について検討した。その結果カリックスアレーン類がこれらカテコールアミン類を抽出できることが示された。ドーパミンはカリックス[6]アレーンによって、アドレナリンはカリックス[8]アレーンによって最も抽出された。抽出にはゲストの疎水性と対称性が関与することが示唆された。 その他、カリックスアレーン誘導体と非イオン性界面活性剤を共存させた「逆ミセル系」における種々のタンパク質抽出についても検討しているが現在までにタンパク質を抽出するために適した条件は得られていない。また加水分解酵素の有機溶媒への可溶化を目指しカリックスアレーン誘導体とタンパク質の複合化について検討しているが良好な結果は得られておらず、今後継続検討が必要である。 これらの成果は現在、英文論文誌に2報を発表、4報を投稿準備中である。
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[Publications] T.OSHIMA: "Protein Extraction and Stripping with Calixarene Derivatives"Journal of Ion Exchange. 14supplement. 373-376 (2003)
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[Publications] T.Oshima: "Dominant Factors Affecting Extraction Behavior of Amino Compounds by a Calix[3]arene Carboxylic Acid Derivative"Analytica Chimica Acta. 509. 137-144 (2004)