2002 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内代謝物の同位体分布を利用した代謝流束分布解析と遺伝子および蛋白質発現解析
Project/Area Number |
14350438
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
清水 和幸 九州工業大学, 情報工学部, 教授 (00150318)
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Keywords | 代謝解析 / 微生物 / NMR / GC-MS / 代謝流束分布 / タンパク質発現 / 遺伝子発現 / 代謝調節制御 |
Research Abstract |
大腸菌K12株を連続培養し、希釈率の変化や窒素源(NH_3)律速が、細胞内代謝流東分布、および細胞内代謝物濃度に及ぽす影響を検討した。このため、炭素同位体^<13>Cを用いたケモスタット培養実験を行い、細胞内同位体分布をNMRおよびGC-MSを利用して求め、開発したプログラムを利用して、細胞内代謝流束分布を求めた。その結果から、比増殖速度の増加に伴って、グルコース6-リン酸(G6P)からペント-スリン酸(PP)経路に向かう流束が低下すること、グリセルアルデヒド3-リン酸(G3P)からピルビン酸(PYR)までの解糖経路、」およびTCA回路の流束はあまり変化しないことなどがわかった。また、窒素源律速条件下では、α-ケトグルタル酸からグルタミン酸合成経路(NADPH消費経路)の流束が著しく低下し、PP経路のNADPH生成経路のG6PDHや6PDHの酵素活性が著しく低下し、G6Pや6フォスフォグリセリン酸(6PG)の細胞内濃度が、著しく上昇することが定量的にわかった。 同様の検討を酵母についても行ない、炭素源としてグルコース以外に、グリセロールや酢酸を用いた場合の代謝流束分布を求め,代謝解析を行なった。 また、大腸菌K12株を、様々な炭素源(グルコース、グルコン酸、グリセロール、酢酸)およぴ異なる溶存酸素(DO)濃度レベルで回分培養し、それぞれの培養特性を検討すると同時に、2次元電気泳動(2DE)を利用したタンパク質の発現量、および26の主代謝経路関連酵素の活性を測定し、比較検討した。これらの結果から、微好気条件では,解糖系関連のタンパク質の発現が若干増加し、TCA回路関連タンパク質の発現が著しく低下し、pflやadhEなどの発酵関連経路のタンパク質が著しく増加することがわかった。またこの他、酢酸を炭素源とした場合については、pfkA、pykF、ppcおよびzwfの発現が低下し,fbp、pckA, ppsAおよびmezが著しく強発現することもわかった。またこの場合、グリオキシル酸経路関連のaceAやaceBも著しく強発現しており、TCA回路関連もある程度強発現していることがわかった。グルコン酸を炭素源とした場合は、エントナードゥードロフ(ED)経路のeddやedaの他,fbpやTCA回路関連のタンパク質が強発現することがわかった。また、グリセロールを炭素源とした場合は、fbpやTCA回路関連のタンパク質が強発現していたが、ackAは著しく低下していた。
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[Publications] H.Zhang, K.Shimizu, S.Yano: "Metabolic flux analysis of S.cerevisiae grown ox glucose, glycerol, or acetate by ^<13>C-labeling experiments"Biochemical Engineering Journal. (in press). 1-9 (2003)