2003 Fiscal Year Annual Research Report
電子・励起子伝搬の量子位相制御による光演算分子素子
Project/Area Number |
14350448
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
山崎 巌 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80002111)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 賢宣 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (60218211)
秋本 誠志 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40250477)
佐藤 信一郎 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10262601)
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Keywords | コヒーレント光化学反応 / 量子コヒーレンス / 超短パルスレーザー / 励起エネルギー移動 / 分子配列系 |
Research Abstract |
反応分子が接近した分子配列系では、分子間に強い相互作用が働き、励起移動や電子移動などの光化学過程が、量子論的な波動の伝搬として超高速コヒーレント過程として起る。光化学反応が量子位相が保たれた状態で進行し、この位相干渉を利用すると反応が打ち消されたり強めたりることができて、反応の制御が可能になるとともに、励起レーザーモードに依存する論理演算系をつくることができる。本年度は次のような成果をあげることができた。 (1)コヒーレント励起子伝搬を示す新しい分子配列系の発見 これまでアントラセン、ペリレンなどの分子二量体について、相互作用によって分裂した2つの状態を超短パルスレーザーでコヒーレントに励起することによって、蛍光異方性減衰のうえに量子ビートが現れることを見い出し、これが量子系の時間発展において2つの状態の間で回帰振動によるものであることを確かめた。本年度はサイズの大きなポルフィリンデンドリマーについて、同様な量子ビートが見い出され、これらの結果は、分子系におけるコヒーレント光化学反応のはじめての観測として位置付けられる。 (2)位相ロック2重レーザーパルス照射法による量子干渉測定装置の完成 コヒーレント光化学反応を演算素子へ展開するために、位相を固定した2重レーザーパルス照射の装置を完成させ、分子二量体およびポルフイリンデンドリマーにおける反応の位相干渉効果を観測することができ、また2重パルスの光の位相を変えることにより、スイッチング動作を確認することができた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] I.Yamazaki: "Observation of quantum coherence in recurrence motion of exciton in anthracene dimers in solution"J.Am.Chem.Soc.. 125. 7192-7193 (2003)
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[Publications] H.Yamada: "Photovoltaic properties of self-assembled monolayers of porphyrins and nornhyrin-fullerrene dyads on ITO and gold surfaces"J.Am.Chem.Soc.. 125. 8129-9193 (2003)
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[Publications] K.Kano: "Convenient scaffold for forming heteroporphyrin arrays in aqueous media"J.Am.Chem.Soc.. 125. 10625-10634 (2003)
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[Publications] S.Sato: "Coherent control of oscillatory excitation transfer in dithia-1.5[3.3]anthracenophane by a phase-locked fs pulse pair"J.Phys.Chem.A. 107. 10019-10025 (2003)
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[Publications] T.Kasajima: "Evidence of vibrational relaxation from non-Boltzmann distribution over y-0,1,2 levels in S1 perylene in solution"Chem.Phys.Lett.. 375. 227-232 (2003)
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[Publications] M.Mimuro: "Analyses of excitation energy transfer processes from siphonaxanthin to chloropyll in a green alga Codium fragile"Plant Cell Physiol.. 44. 157-157 (2003)