2002 Fiscal Year Annual Research Report
1次元レニウムビピリジン錯体ポリマーの創製とその機能性材料への展開
Project/Area Number |
14350451
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
石谷 治 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (50272282)
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Keywords | 直鎖状レニウム多核錯体 / リン架橋配位子 / エネルギー移動 / 電気化学 |
Research Abstract |
本研究では、様々な二座リン配位子によって架橋されたレニウムビピリジン二核錯体を合成し、その光化学的・電気化学的特性について検討した。また、この知見をもとに、新規レニウム多核錯体の合成を行った。共役の有無や結合距離を変えるという観点から、リン架橋配位子PPh_2-R-PPh_2のR部分が(CH_2)_n(n=1,2,3)、trans-CH=CH、C≡Cの錯体1及び2を合成した。1は、2つのトリカルボニル錯体を連結した対称型のダイマーであり、2は、1の一方のユニットのCO配位子をP(OEt)_3に置換した非対称型である。これらの錯体のアセトニトリル中におけるサイクリックボルタモグラム(CV)、発光スペクトル、励起寿命の測定を行った。また、Rが(CH_2)_2のリン架橋配位子を用いて、四核錯体3を合成した。1のCVの結果より、2つのユニット間の距離が比較的近くなる、RがCH_2、C≡Cの場合、各ユニット間に相互作用が発現することがわかった。一方、その他のリン架橋配位子を用いた錯体では、左右のユニットは、同じ電位で還元され、その間の相互作用は認められなかった。発光スペクトルの測定の結果、2は、トリカルボニル錯体側を励起しても、そこからはほとんど発光せず、ビスカルボニル錯体側からのみ発光した。この分子内エネルギー移動は、Rがいずれの場合も起こったが、励起寿命の測定から求めたエネルギー移動速度を比較すると、CVにおいてユニット間の相互作用が観測された、RがCH_2、,C≡Cの場合に、より速いことがわかった。また、四核錯体3においても、二核錯体の場合と同様に、末端部から中心部への効率の良いエネルギー移動が観測された。従って、直鎖状レニウム多核錯体内に、エネルギーカスケードをつけることにより、励起エネルギーを分子内のある部分に向けて効率良く集めることができる可能性が高い。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] K.Koike, N.Okoshi, H.Hori, K.Takeuchi, O.Ishitani, H.Tsubaki, K.Sakamoto, I.P.Clark, M.W.George, F.P.A.Johnson, J.J.Turner: "Mechanism of the Photochemical Ligand Substitution Reactions of fac-[Re(bpy)(CO)_3(PR_3)]^+ Complexes and the Properties of Their Triplet Ligand-Field Excited States"Journal of the American Chemical Society. 124. 11448-11455 (2002)