2002 Fiscal Year Annual Research Report
イオン性液体およびイオンゲルを用いた創り込みの化学
Project/Area Number |
14350452
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
渡辺 正義 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 教授 (60158657)
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Keywords | イオン性液体 / イオンゲル / 磁場匂配NMR / プロトン伝導 / 燃料電池 / 色素増感太陽電池 / イオンダイナミックス / マイクロ電極 |
Research Abstract |
本研究ではイオン性液体およびイオンゲルに関し、以下の3点に絞り研究を展開している。 1)イオン性液体およびイオンゲル中のイオンダイナミックスの解明 2)非水条件下、100℃以上の温度域で安定なプロトン伝導性イオン性液体とそのイオンゲルの創製 3)イオンと電子の両者が可動な混合伝導性イオン性液体とそのイオンゲルの創製 すなわちイオン性液体とイオンゲルの導電機構を明らかにすると同時に、これにプロトン伝導性、混合伝導性といった機能を作り込む化学の開拓を目的とした。 本年度は、イオン性液体を構成するカチオン、アニオンの自己拡散係数を個別に測定可能な磁場勾配NMRを導入し、これを用い、イオン拡散係数を個別に測定することを試みた。導電率や粘性率と比較考察することにより、イオン性液体中のイオンの状態、イオン間相互作用、イオンダイナミックスに関して検討を加えた。さらに、イオン性液体中のモノマーのその場重合によって得られるイオンゲル中のイオンダイナミックスをイオン生液体と比較する事によって、高分子網目の効果を明らかにした。 第2の項目に関しては、イオン性液体の耐熱性(一般に400℃程度)を活用し、これが水に代わるプロトン伝導媒体となるようなイオン性液体を創製し、さらにイオンゲルとすることで高分子固体膜化を図った。超強プロトン酸とイミダゾールなどの塩基がイオン性液体を形成し、この中でイミダゾリウムプロトンがイミダゾール分子間に非局在化し、100℃以上の温度域で10^<-2>-10^<-1>Scm^<-1>のプロトン伝導性を示すことを定量的に評価した。また、プロトン伝導性イオン性液体を与える塩基に関して広範に調査した。 第3の項目に関しては、イオン性液体中にレッドクスカップル(I^-/I_3^-系)を高濃度に導入し、この酸化還元電流の濃度依存性をマイクロ電極による電気化学測定から明らかにした。得られるレドックスカップルの拡散係数の濃度依存性の解析から、物理拡散と、レドックスカップル間の交換反応による電荷輸送の分離に成功した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] H.Tokuda: "Synthesis, Characterization, and Ion-conductive Behavior in an Organic Solvent and in an Polyether of a Novel Lithium Salt of a Perfluorinated Polyimide Anion"Macromolecules. 35. 1403-1411 (2002)
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[Publications] M.Watanabe: "Polymer Electrolytes Derived from Dendritic Polyether Macromonomers"Solid State Ionics. 148. 399-404 (2002)
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[Publications] S.Tabata: "Synthesis of A Lewis-Acidic Boric Acid Ester Monomer and Effect of Its Addition to Electrolyte Solutions and Polymer Gel Electrolytes on Their Ion Transport Properties"Electrochim.Acta. (in press). (2003)
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[Publications] R.Kawano: "Equilibrium Potentials and Charge Transport of an I^-/I_3^-Redox Couple in an Ionic Liquid"Chem.Commun.. 2003. 330-331 (2003)
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[Publications] A.Noda: "Bronsted Acid-Base Ionic Liquids as Proton Conducting Non-Aqueous Electrolytes"J.Phys.Chem.B. (in press). (2003)
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[Publications] Md.A, B.H.Susan: "Bronsted Acid-Base Ionic Liquids and Their Use as New Materials for Anhydrous Proton Conductors"Chem.Commun.. 2003. 938-939 (2003)
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[Publications] 渡邉 正義(分担執筆): "イオン性液体"シーエムシー. 33 (2003)