Research Abstract |
陽極酸化ポーラスアルミナの高度な応用に際し,細孔配列の規則化が重要な課題とされているが,これまでに細孔配列の規則化が観察されている条件は限定されたものであり,任意な細孔周期で細孔が規則配列した陽極酸化ポーラスアルミナが形成される条件は明らかにされていない.本研究では,陽極酸化ポーラスアルミナの細孔配列の規則化条件,規則化の機構に関して検討を行ない,以下のような成果を得た. (1)種々の陽極酸化条件における細孔配列の検討 様々な陽極酸化条件における細孔配列の構造に関して検討を加え,前年度までに明らかになっている45nm周期より,微細な細孔周期で,細孔配列の規則化が生じる条件を明らかにした.この成果は,今後,微細で規則的な細孔配列を有する陽極酸化ポーラスアルミナを形成し,様々な機能ナノデバイス作製へと応用する上で有用な知見となる. (2)結晶粒界の細孔配列への影響 自己規則化にともない細孔が理想三角格子を形成する領域はドメイン構造をとり,それぞれのドメインの境界部には,欠陥が集積している.規則細孔配列のより高度な応用展開をはかることを目的に,細孔配列の規則化に対して地金Alの結晶方位,粒界等が及ぼす影響について詳細な検討を行なった. (3)合金Alによる検討 このほか,合金Alを用いる陽極酸化,並びに合金組成が細孔配列規則化に及ぼす効果に関しても検討を加え,合金の種類,組成等が細孔配列の規則性に及ぼす影響について考察を行なった. (4)孔配列規則化機構の検討 皮膜成長にともなう孔の規則配列の変化について,表面層より孔配列の変化を3次元的に観察する手法を用い検討を加えた.また,細孔配列を定量的に評価する手法として,前年度導入を行なったフーリエ変換にもとづく細孔配列の定量化に関しても検討を加え,フーリエ変換法による画像解析が,細孔配列の定量的な評価に有効であることを確認した.
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