2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14350471
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
藤澤 清史 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助教授 (10251670)
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Keywords | 遷移金属錯体 / 酸素錯体 / 分光解析 / 電子構造 / 反応機構 / モデル錯体 / 水酸化反応 / 均一系触媒反応 |
Research Abstract |
本研究では、今までの研究をさらに発展させるとともに、配位子を新しく合成し、新規な不安定中間体としての酸素錯体を単離・合成し、その精巧な電子構造を解明することを目的としている。さらに金属タンパク質における酸素の活性化機構に関する統一的理解を目指し、多くの生体類似合成モデル錯体の合成・解析を行う。申請者はヒドロトリス(ピラゾリル)ボレートを配位子として主に銅-酸素錯体の合成、詳細な分光学的解析をスタンフォード大学ソロモン研究室と共同で行ってきた。以下に本年度に得られた成果を簡単に述べる。 1.トリス(ピラゾリル)メタンを配位子として銅-酸素錯体の構造、性質の解明を行った。ボレート配位子をメタン配位子に換えると、各々の構造では、Cu-O結合が短くなり、O-O結合が長くなった。この変化は共鳴ラマンスペクトルの測定結果と一致した。また、安定性はボレート錯体の方が非常に安定になった。理論的考察を加え、投稿準備を行っている。 2.さらに、酸素配位子だけではなく、二酸化窒素イオン、硝酸イオン、一酸化炭素、一酸化窒素を用いて、一連の錯体の合成、構造決定、詳細な分光解析を行っている。 3.1998年に報告した、コントロールラジカルを用いたフェノールの重合反応のAb Initioによる理論的考察を行い、フェノキソ銅(II)中間体を経る経路が好ましいことを明らかにした。これは、実験的結果と一致するものである。 4.単核銅酵素の中間体のモデルとなる、銅(II)フェノキソ錯体の詳細な分光解析を行った。 5.αーケト酸を活性中心に持つ酵素の反応機構を解明するためにモデル錯体を用いた反応速度の詳細な検討を行った。現在、水酸化される側の配位子に電子吸引、供与の置換基を入れた配位子を新規に合成し、それを用いて錯体による反応速度の解析を行っている。 以上のように、遷移金属ー酸素錯体、均一系遷移金属触媒に関して多くの成果を得ることができた。
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Research Products
(6 results)