2004 Fiscal Year Annual Research Report
ナノスケール遷移金属共役分子の創生と新反応性の開拓
Project/Area Number |
14350476
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
真島 和志 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (70159143)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山縣 恒明 大阪大学, 基礎工学研究科, 助手 (70166594)
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Keywords | ナノスケール / クラスター / 4核錯体 / 3核錯体 / 酸化反応 / 電子共役系 / 付加反応 |
Research Abstract |
複数の金属中心を集積化した多核金属錯体は、(i)特異な構造形成、(ii)多中心による反応性、(iii)複数金属の相互作用による単核錯体にはない酸化還元挙動など様々な点から興味が持たれている。また、これらの多核金属錯体では金属が配位子として働いているので、これまで配位子として組み込まれることがなかった遷移金属を配位子の組成として積極的に組み込むことにより、全く新しい配位子の化学が可能である。われわれは、直線状に配列した金属間結合をもつ多核錯体の合成研究を通じて、遷移金属を中央に含む3座配位子として「meridional3座配位子」と「facial3座配位子」を合成してきた。 O,N,P架橋三座配位子6-diphenylphosphino-2-pyridonate(=pyphos)を用いて、モリブデン二核錯体Mo_2(pyphos)_4(1)を合成し、その両方のアキシアル位に2価の10族金属のパラジウムを導入することにより四核錯体Mo_2Pd^0_2(pyphos)_4(2)を合成した。錯体2は、meridional配位子ユニットを持っている。錯体2とジアリールジスルフィドとの反応は、速やかに進行し、S-S結合が開裂し末端パラジウムに酸化的に1,4-付加したPd(I)の四核錯体3が高収率で得られた。錯体2のMo_2は二つのPd(0)のスペーサーとなっている。 二核モリブデン錯体1の両端にd^8の1価のロジウムおよびイリジウム錯体(4)を反応させることにより新規Mo^<II>_2M^I_2(M=Rh,Ir)四核錯体5を合成した(スキーム1)。次に、錯体5をフェロセニウムカチオンで酸化することによりモリブデン-金属間に新たな金属-金属結合をもつ金属間3重結合を含む直線状四核錯体6の合成を行った。次に、錯体5とRXの反応を行ったところ、RXが選択的に1,4-付加した錯体7が得られた。一方のロジウムおよびイリジウムがRXと反応すると同時に、他方の金属が塩素イオンと反応し、四核錯体が生成する機構を考えている。
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Research Products
(7 results)