2002 Fiscal Year Annual Research Report
再生医工学および感染症への展開を目指したグライコ・ナノマテリアルズの創製
Project/Area Number |
14350486
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小林 一清 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (10023483)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 佳子 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (00335069)
西田 芳弘 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (80183896)
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Keywords | 糖鎖工学 / 生体機能材料 / 再生医工学 / 足場材料 / 生分解性 / 分子認識 / 細胞培養 |
Research Abstract |
我々はこれまでに、ポリスチレンやポリアクリルアミドに生理活性糖鎖を結合した糖鎖高分子を合成し、これらが細胞接着性の向上やウイルス、毒素の中和活性を効果的に示すことを報告してきた。しかしながら、糖鎖高分子の合成には糖の水酸基の保護、脱保護を含む多くの煩雑な操作を必要とし、より簡便な合成法が望まれている。本研究では酵素の分子認識能を利用し、生分解性のポリビニルアルコールを主鎖に有する糖鎖高分子の簡便かつ精密な合成法を確立した。得られた糖鎖高分子(PV-Lac、PV-Mal)のレクチン認識能について検討を行った。また本糖鎖高分子の肝細胞培養材料への応用検討を行ったので報告する。 乳糖,麦芽糖の還元糖(ラクチトール、マルチトール)と、カルボン酸ジビニルエステルとをプロテアーゼやリパーゼを触媒として反応を行うと、位置選択的エステル化が効率よく起こることを見出した。これにより重合官能基を有する糖モノマーをOne-stepで合成でき、このモノマーを重合することにより簡便に糖鎖高分子(PV-Lac、PV-Mal)を得ることに成功した。また、これらの糖鎖高分子は糖クラスター効果によりレクチンに対し高い特異性と親和性を示した。 今回合成した糖鎖高分子(PV-Lac)は、側鎖にβ-Galを有するため、アシアロ糖タンパクレセプターを持つ肝細胞と特異的に接着することが考えられる。そこで本糖鎖高分子をコーティングした培養皿にて癌化肝細胞(HepG2)の接着実験を行ったところ、Β-Galを有する糖鎖高分子(PV-Lac)をコートした培養皿でのみ、HepG2細胞の接着性が向上するという結果が得られた。このことによりPV-Lacは優れた肝細胞培養材料となることが示唆された。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] H.Dohi, Y.Nishida, K.Koba ashi: "Molecular Design and Biologic Potential of Galacto-type Trehalose. as a Nonnatural Ligand of Shiga Toxins"Org. Lett.. 4. 355-357 (2002)
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[Publications] K.Matsuura, K.Hayashi, K.Kobayashi: "Artificial Regulation of Transcription Applying Carbohydrate-Lectin Interaction"Chem. Commun,. 1140-1141 (2002)
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[Publications] H.Dohi, Y.Nishida, K.Kobayashi: "Convenient Use of Non-malodorous Thioglycosyl Donors for the Assembly of Multivalent Globo-and isoGlobosyl Trisaccharides"Carbohydr. Res.. 337. 983-989 (2002)
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[Publications] H.Tanaka, Y.Nishida, K.Kobayashi: "A Convenient Synthetic Pathway for Multivalent Assembly of Aminoglycoside Antibiotics Starting from Amikacin"Medicinal Chem. Lett.,. 310. 27-35 (2002)
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[Publications] Y.Miura, Y.Nishida, K.Kobayashi: "Self-Assembled Monolayers of Gb_3 : Surface Specific Affinity with Shiga Toxin. Anal"Biochem. 310. 27-35 (2002)
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[Publications] k.Sasaki, Y.Nishida, K.Kobayashi: "Facile Assembly of Cell Surface Oligosaccharide Mimics via Copolymerization of Carbohydrate Modules. Angew"Chem. Int. Ed.. 41. 4463-4467 (2002)
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[Publications] 小林一晴: "先端化学シリーズIII 糖鎖工学"丸善(発表予定). (2003)