2003 Fiscal Year Annual Research Report
「柔らかい凝縮系」の構造・ダイナミクスに与える圧力効果
Project/Area Number |
14350493
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柴山 充弘 東京大学, 物性研究所, 教授 (00175390)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬戸 秀紀 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60216546)
長尾 道弘 東京大学, 物性研究所, 助手 (90301150)
功刀 滋 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 教授 (70111929)
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Keywords | ゲル / ミセル / 小角中性子散乱 / 動的光散乱 / 高圧物性 / 両新媒性高分子 / ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド) / マイクロエマルション |
Research Abstract |
「柔らかい凝縮系」である高分子系は常温・常圧付近で多種多様の相分離・相転移現象が確認されている。しかしながら、こうした物理現象に対する圧力効果についてはいまだ十分かつ系統的な研究がなされていないのが現状である。とくに、疎水性相互作用に基づく疎水結合についてはその分子論的理解は十分であるとは言えない。そこで、代表的な温度敏感型高分子であるポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PNIPA)溶液およびゲルについて、温度誘起相転移現象における圧力効果の研究を行った。曇点測定による相図の作成、小角中性子散乱(SANS)による臨界現象、動的光散乱による臨界ダイナミクス、などの研究を行い、疎水性相互作用の圧力依存性について分子論的立場から議論した。その結果、(1)相分離温度は圧力に対する、上に凸の関数であり、溶液で50MPa付近、ゲルで100MPa付近に極大をもつことがわかった。(2)SANSにより、臨界現象の観測に成功し、スピノーダル曲線を決定した。(3)臨界点近傍における、ゆらぎの長波長化、遅延化という臨界ダイナミクスを観測した。こうした実験事実に基づき、疎水相互作用の本質および疎水水和構造形成メカニズムについての分子論的解明をおこなった。さらに、「柔らかい凝縮系」をマイクロエマルション系へと拡張し、マイクロエマルションの相挙動、ミセル構造の微視的構造、ミセル薄膜のダイナミクスについての研究を行い、相挙動・相構造に及ぼす温度と圧力の役割について研究した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] M.Shibayama et al.: "SANS Study on Pressure Induced Phase Separation of Poly(N-isopropylacrylamide) Aqueous Solutions and Gels"Macromolecules. (in press).
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[Publications] T.Norisuye et al.: "Studies on Two Types of Built-in Inhomogeneities for Polymer Gels : Frozen Segmental Concentration Fluctuations and Spatial Distribution of Cross-links"Macromolecules. 36. 6202-6212 (2003)
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[Publications] M.Nagao et al.: "Small-angle neutron scattering study of droplet density dependence of the water-in-oil droplet structure in a ternary microemulsion"J.Appl.Cryst.. 36. 602-606 (2003)