2004 Fiscal Year Annual Research Report
新規分子組織体“超高密度"ポリマーブラシに関する基礎的研究
Project/Area Number |
14350496
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
辻井 敬亘 京都大学, 化学研究所, 助教授 (00217308)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 猛 京都大学, 化学研究所, 教授 (00111972)
大野 工司 京都大学, 化学研究所, 助手 (00335217)
後藤 淳 京都大学, 化学研究所, 助手 (20335219)
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Keywords | ポリマーブラシ / 濃厚ブラシ / リビングラジカル重合 / 原子間力顕微鏡 / 反発力 / 摩擦力 / エントロピー弾性 / 浸透圧 |
Research Abstract |
申請者らは、リビングラジカル重合法をいち早く表面グラフト重合に適用し、鎖長および鎖長分布の制御に加え、グラフト密度が従来法の10倍にも及ぶ超高密度化にはじめて成功した。得られたポリマーブラシの良溶媒中での構造と物性を評価した結果、グラフト鎖はほぼ伸びきり鎖長にまで高度に伸張され、従来にない表面特性を示すことを見いだした。本研究は、この研究成果を拡張・発展させ、新規分子組織体としての超高密度ポリマーブラシ(濃厚ブラシ)の基礎科学を確立することを目的とした。本年度は、バルクおよび溶媒膨潤状態におけるブラシ同士の吸着特性、摩擦特性について検討した。特に、原子間力顕微鏡を利用したフォース測定により、溶液中(良溶媒および貧溶媒系)における種々の濃厚ブラシ間(疎水性ブラシ、親水性非電解質ブラシ、電解質ブラシ)の相互作用を評価した。注目すべき結果を以下に記す。 (1)濃厚ブラシ間には、飛躍的に大きな反発力が働き、特に、良溶媒系では対向ブラシ間の絡み合い等による吸着力は全く認められない。 (2)良溶媒系での濃厚ブラシ間の摩擦力は、準希薄ブラシ間と比較して、圧倒的に小さい。 さらに、理論的な検討を加えた結果、濃厚ブラシでは、膨潤ブラシ層の濃厚溶液系ゆえの大きな浸透圧効果が大きな荷重を支え得ることに加え、接触領域においては、局所濃度の増大の解消と(高伸張状態がゆえに得られる)大きなエントロピーゲインのために、グラフト鎖は相互侵入せずに収縮して絡み合いを抑制し、上記のような特性が発現したと結論した。高反発特性と低摩擦特性を兼ね備えた濃厚ブラシ表面は、機能性表面として大きな可能性を有すると期待される。
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Research Products
(4 results)