2002 Fiscal Year Annual Research Report
液体酸素旋回流方式ハイブリッド燃焼機構の解明と小型観測ロケット用エンジンへの応用
Project/Area Number |
14350513
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Technology |
Principal Investigator |
湯浅 三郎 東京都立科学技術大学, 工学部, 教授 (60123147)
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Keywords | ハイブリッドロケット / 液体酸素 / 旋回流 / エンジン性能 / 旋回型液体酸素インジェクタ |
Research Abstract |
当該研究の実施に不可欠な大流量液体酸素供給装置を製作した。この装置は主に、液体酸素用アルミニウム合金高圧容器(容量3.4l)と液体酸素流量制御・計測システムとからなり、今年度は最大流量220[g/s]までは安定に供給できることを確認した。 続いて、単一孔インジェクタ(孔径0.4〜1.0mm、インジェクタ上流圧力2〜5MPa)による自由空間及び燃料グレイン壁面への液体酸素噴射実験を実施した。その結果、単一孔インジェクタの孔径が小さい程、液滴到達距離がインジェクタ出ロ下流80cm程度から10cm下まで短くなって霧化・気化しやすいが、グレイン内壁に沿って接線方向に噴射すると、壁面に液体の層を形成し気化が妨げられることが分かった。この傾向は本実験の圧力範囲では変わらなかった。 この結果を参考にして、噴射孔径と孔数が、1.0[mm]×8孔、0.8×8、0.6×8、0.4×16、0.4×48孔の5種類の旋回型インジェクタ(形状スワール数4.6〜15.5)を製作し、インジェクタ上流圧力を2〜5MPaと変化させて燃焼実験を実施した。その以下の結果が得られた。 ・液体酸素旋回方式ハイブリッドロケットエンジンは、比較的容易に着火し、噴射孔径が小さくインジェクタ上流圧が高い場合には、低周波の振動燃焼に至らずに安定な燃焼が持続した。しかし燃料後退速度・C^*効率・Ispは、気体酸素を用いた場合と比べて、本実験の範囲ではいずれも低下した。 ・液体酸素がグレイン表面に液体の状態で存在していることが、噴射された液体酸素の角運動量を減衰させ、見かけの燃料表面積と酸化剤質量流束を低下させる。加えて着火遅れ時間を長くし、エンジン内での燃焼反応の完了を妨げ、エンジン性能を低下させている可能性がある。 次年度以降ではこれらの問題点を解決し、エンジンの高性能化と大推力を図る。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 湯浅, 三郎: "大学における小型再使用打ち上げシステムの開発研究(その2) 酸化剤旋回型小型ハイブリッドロケットの開発と打ち上げ"日本航空宇宙学会第33期年会講演会講演集. 152-155 (2002)
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[Publications] Kitagawa, Koki: "Development and Experimental Launch of a Small Hybrid Rocket with a Swirling-oxidizer Type Engine"Proceedings of the 23^<rd> International Symposium on Space Technology and Science(Selected Papers). 1600-1606 (2002)
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[Publications] 北川, 幸樹: "酸化剤旋回型高性能ハイブリッドロケットによる小型観測機打ち上げの検討"日本機械学会2002年度年次大会講演論文集. Vol.1. 347-348 (2002)
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[Publications] Mizobata, Kazuhide: "Development Study at University Laboratories on Small Scale Reusable Launch Systems"AIAA/AAAF 11th Space Planes and Hypersonic Systems and Technologies. AIAA-2002-5173. (2002)
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[Publications] 北川, 幸樹: "液体酸素旋回型ハイブリッドロケットエンジンの燃焼特性"第43回航空原動機・宇宙推進講演会講演集. 55-60 (2003)
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[Publications] 北川, 幸樹: "推力1000[N]級ハイブリッドロケットエンジンの開発についての中間報告"UNISECワークショップ2002講演集. NUISEC02-26. (2002)