2003 Fiscal Year Annual Research Report
液体酸素旋回流方式ハイブリッド燃焼機構の解明と小型観測ロケット用エンジンへの応用
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14350513
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Technology |
Principal Investigator |
湯浅 三郎 東京都立科学技術大学, 工学部, 教授 (60123147)
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Keywords | ハイブリッドロケット / 液体酸素 / 旋回流 / エンジン性能 / 旋回型液体酸素インジェクタ |
Research Abstract |
昨年度の実験より、旋回を与えた液体酸素をハイブリッドロケットエンジン燃焼室内に直接噴出した場合、着火は容易で、噴射孔径が小さくインジェクタ上流圧が高いと安定した燃焼が持続することが確認された。しかし燃料後退速度・C*効率・Ispは、気体酸素を用いた場合に比べて、いずれも低下した。本年度は、この原因を究明することと、その対策を講ずることを目的に研究を実施した。以下にそれらの概要を記す。 (1)細いPMMAパイプの中に液体酸素を流してPMMAを燃焼させ、燃料後退速度や燃焼挙動などの燃焼特性について調べた。その結果、液体酸素が存在する燃焼場は拡散律速支配ではなく、液体酸素の蒸発過程に支配されており、燃料後退速度は細管内の酸素質量流束に殆ど依存しないこと、液体酸素/PMMAの燃焼においては当量比1の火炎が支配的な役割を果たしていることがわかった。 (2)(1)の結果から、液体酸素を直接燃焼室内に噴出することは、旋回強度の低下と、燃料後退速度が向上しない方向への律速過程の変化とをもたらすことが明確になったため、何らかの方法で液体酸素を燃焼室内流入させる前に気化させることが必要との結論に達した。 (3)液体酸素の気化方法として、世界に類を見ない、液体酸素再生冷却ノズル方式を採用することにした。推力1000Nのハイブリッドロケットエンジンの場合に対して、適切な設計をすればノズル壁材の許容温度以下で、200g/sの液体酸素をノズル流路出口において十分気化できることが分かった。この計算結果に基づいて、無酸素銅製のスロート内径14.5mm、長さ96mmの再生冷却ノズルを設計・製作した。 次年度は、ハイブリッドロケットエンジン燃焼室内の燃焼過程の解明を引き続き行うとともに、1000N再生冷却ノズルを用いた燃焼実験を実施し、最終的には推理力3000Nのハイブリッドロケットエンジンの設計・製作を試みる。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 呂, 貴明: "液体酸素再生冷却方式による推力1000[N]級ハイブリッドロケットエンジンの開発 -再生冷却ノズルの設計-"UNISECワークショップ2003講演集. 3-25 (2003)
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[Publications] Mitsutani, Toru: "Combustion of PMMA in Liquid Oxygen Flow"Proceedings of the of the Asian Joint Conferences on Propulsion and Power, JCPP 2004, and 44th Aerospace Propulsion Conference. 237-242 (2004)
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[Publications] Ro, Takaaki: "The Design of Regenerative Cooling Nozzle with Liquid Oxygen for Hybrid Rocket Engine"Proceedings of the of the Asian Joint Conferences on Propulsion and Power, JCPP 2004, and 44th Aerospace Propulsion Conference. 293-298 (2004)
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[Publications] Mitsutani, Toru: "Burning Test of a Hybrid Rocket Engine with a Swirling Liquid Oxygen Flow"Proceedings of the 24th International Symposium on Space Technology and Science. ISTS2004-a-16. (2004)
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[Publications] Yuasa, Saburo: "Effects of Swirling Liquid Oxygen Flow on Combustion of a Hybrid Rocket Engine"40th AIAA/ASME/SAE/ASEE Joint Propulsion Conference. AIAA-2004-3479. (2004)