2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14350525
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
影本 浩 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (40214275)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 嗣基 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助手 (10313008)
阿久津 好明 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (30175814)
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Keywords | 洋上風力発電 / 浮体式 / 発電コスト / 自然エネルギー / メガフロート |
Research Abstract |
風力発電は現在自然エネルギーの内で最も有望視されており、欧州では既に相当な規模の風力発電装置が導入されている。我が国でも、ここ数年急速に風力発電の導入が進んできているが、風力発電に適した平野部の少ないため、洋上風力発電が注目されている。特に遠浅海岸の少ない我が国では、水深に影響されない浮体式洋上風力発電が有力なものと考えられている。本研究では浮体式洋上風力発電を対象とし、発電コストの支配的要素である浮体・係留装置のコストを詳細に検討した。また浮体上に搭載する風車間の遮蔽影響を水槽試験によって詳細に検討することで、浮体スペースを最大限に利用できる風車配置を求め、発電コストの低減可能性を考察した。さらに、発電コストに影響を及ぼすと考えられる各種パラメータを変化させた感度解析を行って、発電コストに対する支配的パラメータの影響を定量的に明らかにした。 これらの結果として、係留装置のコストは、設置海域の水深が増加しても、従来考えられていたほどにはコストが増加しないことがわかった。また、風車列が風に正対している場合には、隣り合う風車がほとんど接するまで近づけても、風車間影響による発電量低下は生じないことが明らかになり、各風車でなく風車群を搭載している浮体自身をヨー制御することで、浮体に搭載する風車の数を増加させることができることがわかった。また、感度解析の結果、浮体式洋上発電のコストを大きく左右する項目は浮体建造および離岸距離であることが分かった。 いずれにしても、我が国の沖合で浮体式の洋上風力発電ファームを展開する場合、その発電コストは20〜50円/kWh程度であり、石油火力発電の9円/kWhあるいは現在の一般的な風力発電の買電価格である11.50/kWhに及ばないため、より抜本的なコスト削減策が必要であることがわかった。
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