2004 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子分析によるニホンナシ栽培種と大陸産ナシ属種の類縁性ならびに分類に関する研究
Project/Area Number |
14360022
|
Research Institution | National University Corporation Tottori University |
Principal Investigator |
田辺 賢二 国立大学法人鳥取大学, 農学部, 教授 (40032106)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 文男 国立大学法人鳥取大学, 農学部, 教授 (50217197)
板井 章浩 国立大学法人鳥取大学, 農学部, 助教授 (10252876)
|
Keywords | 砂梨 / 成熟関連遺伝子 / Mite トランスポゾン / バラ科 / O-methyltransferase |
Research Abstract |
ニホンナシ(Pyrus pyrifolia Nakai)は、日本に野生するニホンヤマナシが、改良され現在の栽培種ニホンナシとなったという説と中国大陸中南部に存在する砂梨が日本に持ち込まれそれが改良されたという渡来説の2説に分かれ、はっきりとした結論は出ていない。その理由として前者は日本において野生のヤマナシの群落が見つからないこと後者はニホンナシと砂梨が同一種である証明がないことがあげられている。本研究は、その点を明らかにすべく、DNAマーカーを用いて解明を試みている。これまでに果実成熟時に発現が増大し、ニホンナシおよびセイヨウナシ成熟果実には発現がみられるもののチュウゴクナシには発現がみられないO-methyltransferase遺伝子(PPOMT1)の存在を明らかにした。この遺伝子を砂梨に分類されている品種群で調査したところ、ほとんどの砂梨品種では、この遺伝子の存在がみられなかったが、一部の品種においてこの遺伝子の存在が認められ、渡来説を支持する結果が得られた。さらにその塩基配列を決定したところニホンナシ品種群と99%以上の相同性を示し、渡来説を決定できる証拠が得られた。これまでニホンナシと砂梨が同一種である証明が得られなかったが、その理由としてほとんどの砂梨とされる品種は、他のチュウゴクナシと交配が進んでいたことが考えられる。またPPOMT1遺伝子の第2イントロン中にバラ科新規Mite型トランスポゾン様配列を発見し、ナシゲノム中に30000コピー以上存在することを明らかにし、このMite型トランスポゾン様配列がゲノムの可動性に大きく関与していることを明らかにした。またMite型トランスポゾン様配列はバラ科祖先種より保持されており、ナシ属分化後急激にコピー数を増加させたものと思われた。
|
Research Products
(4 results)