2002 Fiscal Year Annual Research Report
ハダニ管理における在来性天敵カブリダニ類の積極的導入と利用に関する研究
Project/Area Number |
14360026
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
天野 洋 千葉大学, 園芸学部, 教授 (00143264)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 昌史 千葉大学, 園芸学部, 助手 (50228368)
宍戸 雅宏 千葉大学, 園芸学部, 助教授 (80302537)
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Keywords | カブリダニ / 生物的防除 / IPM / 地理的分布 / 農業生態系 / ハダニ |
Research Abstract |
自然生態系に生息するカブリダニを積極的に農業生態系内へ導入するモデルとして、本研究ではホオノキに生息するイチレツカブリダニを第1候補として選び、ハダニ類防除のためのリンゴ圃場への導入を検討した。平成13年度までの調査で手薄だった日本海沿岸地域及び近畿地方で、本種の生息調査を続けた。8月上旬に実施した奈良県下でのホオノキ調査では、イチレツカブリダニは採集されず、代わりにコウズケカブリダニが多数採取された。岐阜県にある名古屋大学付属農場近辺での採集からは、イチレツカブリダニの優占が認められた事から、優占種の変遷が岐阜県から滋賀県・三重県地域で起こっていると考えられた。 また、コウズケカブリダニに関しては、本種もカンキツ園や茶園でのハダニ防除への利用も考えられるため、本研究課題の新たな展開を得られた。 地理的分布に関しては、本年度8月中旬に新潟県下を近辺の県とともに精査した。予想通りイチレツカブリダニが優占する事が確認され、少なくともわが国の主要なリンゴ生産県では本種の利用が可能な事がわかった。この事実を基に、(独)果樹研究所リンゴ研究部との共同研究で予備試験を進め、リンゴ圃場近辺に生息するホオノキ葉をリンゴ樹に設置する作業を行った。結果は明確な形では得られなかったが、併発する病気や他害虫も認められなかった。平成15年度には、実際的な操作を伴う実験を計画している。 利用に際して、本種が大量に飼育できれば研究は飛躍的に進む。トマトサビダニを室内増殖させて、これを餌として近隣種のコウズケカブリダニを飼育した結果、個体群を維持できた。平成15年度には、イチレツカブリダニで飼育を試みる予定である。 本年度の研究及び関連研究の成果は、国際ダニ学会議(9月;メキシコ)並びに日本ダニ学会(10月;福井)、環境保全型農業技術研究会(3月;筑波)で発表された。
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Research Products
(1 results)