2003 Fiscal Year Annual Research Report
微生物からカイコゲノムへ水平移動した遺伝子の転移機構と生物機能の解明
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14360032
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
嶋田 透 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (20202111)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三田 和英 独立行政法人農業生物資源研究所, 研究チームリーダー(研究職) (30159165)
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Keywords | キチナーゼ / バキュロウイルス / 遺伝子の水平移動 / セラチア菌 / 脱皮 / ミトコンドリア / クワコ / 分子進化 |
Research Abstract |
1.カイコのキチナーゼ遺伝子BmChi-hについて 鱗翅目昆虫ゲノムには細菌・バキュロウイルスと構造上非常に良く似たキチナーゼ遺伝子が存在する。系統解析の結果この細菌型キチナーゼ遺伝子が3者間で遺伝子水平移動したことが示唆され、我々はこれまでに構造解析・発現解析を行ってきた。今回はカイコの細菌型キチナーゼBmChi-hについて生化学的・組蔵学的な機能解析を行ったので報告する。バキュロウイルス発現系を用いてBmCHI-hを発現・精製した結果、BmCHI-hは分泌型のタンパク質であり、キチン分解活性をもつことが明らかになった。BmCHI-hはエキソ型の基質選好性を示し、キチナーゼ阻害剤であるアロサミジンへの感受性は非常に低いものであった。免疫組織染色の結果、BmCHI-hは脱皮の際に限定的に発現し、古い外骨格・脱皮液・気管に局在することが明らかになり、脱皮の際のキチン分解に利用されていることが示唆された。以上から、BmCHI-hの酵素学的性質は昆虫型キチナーゼと大きく異なり、細菌とバキュロウイルスがもつオーソログと類似すること、その一方で、BmCHI-hと昆虫型キチナーゼの発現時期・発現組織はほとんど同一であり、両者はおそらく協奏的にキチン分解を行っていることが示唆された。 2.カイコの全ゲノムショットガン解析から見いだされたミトコンドリア類似配列 カイコのゲノム塩基配列のなかで12カ所から,カイコミトコンドリアDNAと相同性のある配列が発見さた。ゲノムPCRで調査した結果,これらの配列は,ミトコンドリア由来ではなく,染色体由来であることが示された。また,さまざまな品種やクワコのゲノムDNAを調べた結果,多くの品種でこのミトコンドリア相同配列の挿入が保存されていたが,1カ所だけはクワコへ挿入されておらず,カイコ特異的な存在が判明した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Susumu Katsuma, Shinichiro Tanaka, Toru Shimada, Masahiko Kobayashi: "Reduced cysteine protease activity of the hemolymph of Bombyx mori larvae infected with fp25-inactivated Bombyx mori nucleopolyh edrovirus results in the reduced postmortem host degradation."Archives of Virology. (印刷中). (2004)
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[Publications] Kazuei Mita, Mitsuoki Morimyo, Kazuhiro Okano, Yoshiko Koike, Junko Nohata, Hideki Kawasaki, Keiko Kadono-Okuda Kimiko Yamamoto, Masataka G.Suzuki, Toru Shimada, Marian R.Goldsmith, Susumu Maeda: "The construction of an EST database for Bombyx mori and its application."Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America. 100(24). 14121-14126 (2003)
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[Publications] Takaaki Daimon, Koutaro Hamada, Kazuei Mita, Kazuhiro Okano, Masataka G.Suzuki, Masahiko Kobayashi, Toru Shimada: "A Bombyx mori gene, BmChi-h, encodes a protein homologous to bact erial and baculovirus chitinases."Insect Biochemistry and Molecular Biology. 33(8). 749-759 (2003)
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[Publications] 嶋田 透: "カイコのゲノムが解き明かす昆虫の謎.東京大学公開講座76「ゲノム 命の設計図」"東京大学綜合研究会編.東京大学出版会. 185-216 (2003)