2003 Fiscal Year Annual Research Report
デジタル情報化技術を利用した蚕糸技術継承システムに関する研究
Project/Area Number |
14360034
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
三浦 幹彦 信州大学, 繊維学部, 教授 (60135168)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 進 信州短期大学, 助教授 (80249200)
西岡 孝彦 信州大学, 繊維学部, 助教授 (10164542)
森川 英明 信州大学, 繊維学部, 助教授 (10230103)
清水 重人 財)大日本蚕糸会, 蚕糸科学研究所, 研究員
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Keywords | 蚕糸技術 / 結城紬 / 機織り / 糸つむぎ / モーションキャプチャーシステム / 統計的解析 / 主成分分析 / 技術習得ソフトウエアー |
Research Abstract |
本年度は、蚕糸技術の中でも手つむぎ糸および紬織り技術に焦点をあてた。特に、日本の紬織物として確固たる地位を築いてはいるが、近年、後継者不足に悩んでいる結城紬製造技術を中心に行った。結城紬製造の主要工程(1)真綿かけ(2)糸つむぎ(3)管まき(4)糸あげ(5)機延べ(6)図案作成(5)緋括り(6)染色(7)糊つけ(8)筬通し(9)機巻き(10)機織りのうち、二つの工程(2)糸つむぎと(10)機織りに注目し、その特性を明らかにすることを試みた。茨城県工業技術センター繊維工業指導所に研究協力をお願いし、指導員と研修者の機織り作業をモーションキャプチャーシステムにより測定し、データの統計的解析を行った。作業者の体に付けたマーカーの動きに注目し、動きを表わす三次元データを用いて、位置間の相関および主成分分析により作業特性の抽出を試みた。また、作業者の動きを三次元グラフィツクスで表示するソフトウエアーの解析を試みた。その結果、作業者の特徴として、動きの少ない胴体に対して、両手首と肘が広範囲に動くことが確認できた。また、作業姿勢では、身体の前傾角度と筬の位置、抒打ち時の手首位置の相関が熟練者の場合、初心者よりかなり大きいことが明らかになった。これは熟練者の場合、余分な体の動きが少なく、安定した状態で作業を行うためと考えられた。また、抒打ちの時、熟練者は、初心者に比べ、足の力をうまく利用し、手首、肘を十分に使って打ち込んでいる特徴が見られた。さらに、3回の連続した動作によって行われる抒打ちこみ工程について、解析した結果、抒打ちこみの速度については、初心者は「抒打ち1」と「抒打ち2」「抒打ち3」の間の差が大きいことが明らかになった。この研究をさらに進め、熟練技術者のノウハウを抽出し、それをもとに三次元グラフィックスを用いた技術習得のソフトウエアー開発へ展開できる可能性がある。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Kaise, T., Miura, M., Morikawa, H., Iwasa, M.: "Stochastic Models for the Direction of a Silkworm Body during Cocoon Construction"Journal of Insect Biotechnology and Sericology. 72・3. 171-175 (2003)
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[Publications] 鄒利雲, 陳宇岳, 西岡孝彦, 三浦幹彦, 森川英明, 岩佐昌征: "低温冷凍とマイクロ波加熱処理による家蚕糸の形態構造と力学特性"日本シルク学会誌. 12. 13-17 (2003)