2002 Fiscal Year Annual Research Report
含硫黄生体成分の微生物代謝系の解析とxenobiotics分解系への適応進化
Project/Area Number |
14360050
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大森 俊雄 東京大学, 生物生産工学研究センター, 教授 (20011984)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野尻 秀昭 東京大学, 生物生産工学研究センター, 助教授 (90272468)
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Keywords | Dimethyl Slufide / Dibenzothiophene / 有機硫黄化合物 / 硫酸飢餓応答 / Dimethyl Slufone |
Research Abstract |
Pseudomonas putida DS1株のdimethyl sulfid(DMS)代謝系ネットワークの解析に関して本年度は、DMSの代謝産物であるdimethyl sulfone(DMSO_2)の代謝に必須な新規制御因子SfnRについて、その標的遺伝子(第3のDMS代謝系オペロン)の同定を試みた。Transposon5(Tn5)内部にPseudomonas属細菌で構成的に発現するP_<BAD>プロモーター外向きに繋いだプラスミドを構築し、DS1株のsfnR破壊株にelectrophoration法により導入することでDMSO_2の資化能が復活した菌株の取得に成功した。変異株のTn5挿入位置を調べたところ、FMNH_2-dependent monooxygenaseをコードする遺伝子と相同性を示すORFの上流に存在しており、本ORFの直上流にはσ^<54>依存性のプロモーター配列が確認された。一方ゲノム情報を利用したDMS、DMSO_2代謝関連遺伝子の単離も試みた。Rhodococus等グラム陽性菌で単離されているdibenzothiophene(DBT)の代謝酵素遺伝子の一つであるdszA遺伝子ホモログを、P.putida、P.aeruginosa、P.fluorescensの全ゲノム塩基配列データを基に検索した。DszAとアミノ酸での相同性が30%以上で、大きさもほぼ同じホモログについてalignmentを行い、consensus配列から作製したdegenerated primerによりPCRを行った。増幅遺伝子断片をプローブとしてサザン解析を行った結果、DszAと全長に渡り40%の相同性を持つホモログをDS1株から単離することに成功した。今後、これら両方法により取得されたDMSまたはDMSO_2の代謝に関与していると推測される遺伝子について、硫酸飢餓応答性、sfnR破壊株の遺伝子相補実験、活性確認等を行い、DS1株のDMS代謝ネットワークにおける役割を明らかにしていく予定である。また、微生物学的手法によるDMS代謝系の適応進化については、DMSなどDS1株が利用可能な基質に加えるDBTの最適な量について検討を行った。今後、馴養実験を継続して行っていく。
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