2003 Fiscal Year Annual Research Report
ラクトン環開列酵素の機能開発と有用化合物生産プロセスへの応用
Project/Area Number |
14360054
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
片岡 道彦 京都大学, 農学研究科, 助教授 (90252494)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 恵司 第一ファインケミカル(株), 研究部, 基盤技術開発担当部長(研究職)
小川 順 京都大学, 農学研究科, 助手 (70281102)
清水 昌 京都大学, 農学研究科, 教授 (70093250)
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Keywords | ラクトナーゼ / ラクトン / Fusarium oxysporum / Agrobacterium tumefaciens / 光学分割 |
Research Abstract |
ラクトン化合物は自然界に広く存在する化合物であるが、その生合成・代謝に関する研究は多くなされていないのが現状であった。特に、ラクトン化合物の代謝酵素のひとつと考えられるラクトン環開裂酵素(ラクトナーゼ)に関する研究例は非常に少ない。そこで、本研究では、我々がすでに見出しているラクトナーゼに関して、タンパク質化学的手法、遺伝子工学的手法等を用いて、その反応機構等に関する解析を行い、有用化合物の生産プロセスに応用可能な生体触媒としての機能開発を進めていった。 糸状菌Fusarium oxysporumのラクトナーゼ遺伝子を大量発現させたAspergillus oryzaeを用いて、ラセミ体パントラクトンの光学分割を行うことが可能となった。また、Agrobactrium tumefaciensのラクトナーゼ遺伝子を発現させた大腸菌を用いたラセミ体パントラクトンの新たな光学分割法も開発した。 Acinetobacter calcoaceticusのラクトナーゼ「ジヒドロクマリンヒドロラーゼ(DCH)」は、ハロペルオキシダーゼ活性をも有するユニークな多機能酵素である。DCH遺伝子を大量発現させた大腸菌菌体を触媒として、50%(w/v)DL-β-アセチルチオイソ酪酸メチルエステルあるいは25%(w/v)セトラキサートメチルエステルと作用させると、短時間で定量的に、かつ副生成物を伴わず選択的な加水分解反応により、D-β-アセチルチオイソ酪酸およびセトラキサートを生成させることに成功した。また、本酵素の生理的意義を解明するため、遺伝子破壊を行って検討した。その結果、DCH遺伝子破壊株では、過酢酸への耐性が低下していることが明らかとなった。Northern解析等の結果とあわせて、DCHが過酸(過酢酸)の分解防除系に関与していることを推定した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] K.Honda et al.: "Role of Acinetobacter calcoaceticus 3,4-dihydrocoumarin hydrolase in oxidative stress defence against peroxoacids"Eur.J.Biochem.. 270. 486-494 (2003)
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[Publications] K.Honda et al.: "Biocatalytic department of a cetraxate ester by Microbacterium sp. strain 7-1W cells"Biosci.Biotechnol.Biochem.. 67・1. 192-194 (2003)
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[Publications] 片岡道彦: "ラクトナーゼの機能解析と有用物質生産への応用"日本応用酵素協会誌. No.38. 19-27 (2003)
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[Publications] M.Kataoka et al.: "Novel bioreduction system for the production of chiral alcohols"Appl.Microbiol.Biotechnol.. 62. 437-445 (2003)
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[Publications] M.Wada et al.: "Production of doubly chiral compound, (4R,6R)-hydroxy-2,2,6-trimethylcyclohexanone, by two-step enzymatic asymmetric reduction"Appl.Environ.Microbiol.. 69・2. 933-937 (2003)
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[Publications] J.Q.Liu et al.: "A novel enzyme, D-3-hydroxyasapartate aldolase from Paracoccus denitrificans IFO 13301:purification, characterization, and gene cloning"Appl.Microbiol.Biotechnol.. 62. 53-60 (2003)