2003 Fiscal Year Annual Research Report
微生物のエンド型グリコシダーゼを用いた生体バリアー人工ムチンの合成とその高度利用
Project/Area Number |
14360055
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
山本 憲二 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (70109049)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
羽田 勝二 (財)野口研究所, 研究員 (40270540)
藤田 清貴 京都大学, 生命科学研究科, 学術振興会特別研究員
片山 高嶺 京都大学, 生命科学研究科, 助手 (70346104)
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Keywords | ムチン / Endo-α-N-acetylgalactosaminidase / ビフィズス菌 / 糖転移活性 / ムチン型糖鎖 / 糖タンパク質 |
Research Abstract |
本研究は、腸管を覆う粘膜ムチンや分泌ムチンなどの糖タンパク質のO-グリコシド結合糖鎖=ムチン型糖鎖を切断遊離する微生物のエンドグリコシダーゼの糖転移活性を活用して、生体防御機能を持つ人工ムチンを酵素合成し高度利用することを目的としている。 Endo-α-N-acetylgalactosaminidaseはタンパク質のSer/Thr残基とα-O-グリコシド結合している糖鎖Galactosylβ1→3N-acetylgalactosamine二糖をタンパク質から遊離する酵素である。最近、我々は腸内細菌のなかでも代表的な善玉菌であるビフィズス菌の多くが本酵素を有することを見出した。この事実はビフィズス菌の腸管への接着に本酵素が関係していることが示唆される。そこで、本酵素活性が見られたBifidobacterium longum JCM1217株について酵素反応を解析したところ、糖転移活性を有することを見出した。そこで、この糖転移活性を利用することにより、ビフィズス菌のみが資化あるいは接着できる機能性糖鎖複合体(人工ムチン)を酵素合成することを意図し、本酵素を多量調製することを目的として、その遺伝子クローニングを行なった。先ず、全ゲノムが解読されているビフィズス菌株B. longum NCC2705のゲノムから本酵素の遺伝子を推測することを試みた。既に知られているStreptococcus pneumonia、Alcaligenes sp.の酵素の分子量などの情報を基にしてゲノムデーターベースを検索し、類推した遺伝子(ORF)について、本酵素を有するStreptococcus pneumoniae、Clostridium perfringensのゲノム中のホモロジー検索を行なった。その結果、高い相同性を有する遺伝子を見出したので、この部分を増幅させるプライマーを設計し、B.longum JCM1217のDNAを鋳型にしてPCRした結果、増幅したDNAを得た。これをベクターに繋いだ後、大腸菌DH5αに形質転換し、IPTG誘導により大量発現させた。本酵素は1984アミノ酸残基からなるタンパク質であった。そこで、グルコースを受容体にし、p-NP-GalNAc-Galを糖鎖供与体として糖転移反応を行ない、反応生成物をHPLCで単離した後、MSにて糖転移生成物を同定した。本糖転移活性が機能性糖鎖複合体の合成に有用であることが明らかになった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] K.Haneda, T.Inazu, M.Mizuno, K.Yamamoto: "Chemoenzymatic Synthesis of Neoglycopeptides Using Endo-β-N-acetylglucosaminidase from Mucor hiemalis"Methods in Enzymology. 362. 74-85 (2003)
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[Publications] E.Akaike, M.Tsutsumida, K.Osumi, M.Fujita, T.Yamanoi, K.Yamamoto, K.Fujita: "High Efficiency of Transferring a Native Sugar Chain from a Glycopeptide by a Microbial Endoglycosidase in Organic Solvents"Carbohydrate Research. 339. 719-722 (2004)