2003 Fiscal Year Annual Research Report
食品蛋白質の遺伝子工学的修飾・分子設計による高機能化
Project/Area Number |
14360077
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
加藤 昭夫 山口大学, 農学部, 教授 (00035114)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿座上 弘行 山口大学, 農学部, 助手 (40263850)
|
Keywords | αラクトアルブミン / リゾチーム / オボインヒビター / グリコシル化 / マクロファージ / プロテアーゼ阻害 |
Research Abstract |
酵母Pichia pastoris発現系を用いて、食品蛋白質(αラクトアルブミン、リゾチーム、オボインヒビター)を分泌させ、これらの蛋白質の高機能化のための分子設計を行った。(1)ヤギαラクトアルブミン(α-La)はN-型糖鎖付加シグナル配列を2箇所有するが、哺乳動物では非グリコシル型α-Laが大部分発現分泌し、グリコシル化α-Laは微量しか存在せず、その特性についてはわかっていない。酵母で発現させるとグリコシル化α-Laが多量分泌することが示され、その特性を研究することが可能になった。その結果グリコシル化α-Laは細胞障害性マクロファージをLPSと同様に少量で活性化し、インターロイキン、インターフェロンを放出し、乳癌細胞のアポトーシスを引き起こすことが示された。(2)リゾチームは元来N-型糖鎖付加シグナルは持たないが、部位指定変異により、糖鎖付加配列(Asn-X-Thr/Ser)を導入し、酵母Pichia pastoris発現系で分泌させるとグリコシル化リゾチームが得られ、熱安定性、乳化性などの機能が改善されることが示された。(3)オボインヒビターは卵白に存在する多価のプロテアーゼ阻害作用を持つ分子量49kDの蛋白質であるが、その分子特性については十分に理解されていない。特に、N-型糖鎖付加配列が複数存在するが、オボインヒビターが卵白でグリコシル化されているのか非グリコシル化で存在するのか明らかでない。したがって、オボインヒビターmRNAをニワトリ輸卵管から作製し、酵母Pichia pastoris発現系で分泌させ、その性質を調べた。その結果、酵母でもニワトリでもグリコシル化と非グリコシル化オボインヒビターが存在し、両者ともトリプシン、キモトリプシン、エラスターゼに対して阻害活性を示すことが明らかになった。以上、本研究では、食品蛋白質で生物活性を有する機能性の蛋白質の分子特性を明確にするとともに糖鎖を付加することによる高機能化の分子設計について検討した。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] S.Begum, A.Saito, A.Kato, J.He, H.Azakami: "Expression and characterization of chicken ovoinhibitor in Pichia nastoris"Nahrung. 47. 359-363 (2003)
-
[Publications] A.Saito, Y.Sako, M.Usui, H.Azakami, A.Kato: "Functional properties of glycosylated lysozyme secreted in Pichia Pastoris"Biosci.Biotech.Biochem. 67. 2334-2343 (2003)
-
[Publications] S.T.Liu, A.Saito, H.Azakami, A.Kato: "Expression, purification, and characterization of an unstable lysozyme mutant in Pichia nastoris"Protein Expression and Purification. 27. 304-312 (2003)
-
[Publications] 加藤昭夫, 川岸明彦, 河田康志, 内海 成, 吉川正明, 山縣ゆり子: "タンパク質工学-生命科学系分野のための-"医学出版. 305 (2004)