Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川邉 洋 新潟大学, 農学部, 教授 (80126036)
権田 豊 新潟大学, 農学部, 助教授 (10303116)
近藤 観慈 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (60335148)
沼本 晋也 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (60324555)
海堀 正博 広島大学, 総合科学部, 助教授 (30183776)
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Research Abstract |
最終年度にあたる今年度は,台湾地震後の崩壊跡地の地盤特性の変化,崩壊跡地斜面と崩壊堆積域の地形変化を調査し,とりまとめを行った. 1.台湾集集地震後の崩壊跡地地盤の特性変化:台湾集集地震で発生した大規模崩壊地である九〓二山地区の崩壊と草嶺地区の崩壊に対して,崩壊跡地に露出した岩盤斜面の弾性波速度の測定を継続的に実施し,その結果を取りまとめた。その結果,若干の増減はあるものの,調査開始から地盤の弾性波速度が次第に低下してきている事実を確認した。この結果は,地盤強度の低下が時間とともにすすんでいることを意味し,地盤強度に基づく崩壊に対する抵抗性が地震や豪雨等の誘因の規模を下回る可能性が時間とともに増加し,再度,同様な崩壊現象が生ずる可能性が時間の経過とともに高くなることが示唆されるものである。 2.九〓二山地区崩壊堆積域の地形変化:継続的に実施している崩壊堆積域の地形変化について,今年度は天然ダム決壊対策として実施された開削水路沿いの斜面の地形変化を計測し,その原因を検討した。その結果,開削水路沿いの斜面では,水路施工時に特に変化は無かったが,主に2004年の豪雨により,比較的規模の大きな崩壊が発生した。九〓二山地区の崩壊によっていくつかの谷が埋められたが,このような崩壊は,堆積後に残流域をもつ旧の谷地形が開削水路と交差する開削水路斜面や,崩壊堆積域発生時に生じたくぼ地に隣接する開削水路斜面で発生していることがわかった。したがって,その原因は,残流域やくぼ地で集積された雨水が旧谷地形に規制されて浸透したことによって,開削水路斜面に浸出現象を引き起こし,開削水路斜面を不安定化させたためと考えられる。さらに,開削水路斜面の不安定化には開削水路の河床洗掘にともなう河床低下が関係していると考えられる。 3.草嶺地区崩壊跡地斜面の地形変化:2004年の豪雨によって,草嶺地区の崩壊跡地の流れ盤斜面末端部が崩落・後退したことを計測結果から明らかにした。今年度は末端部等の明らかな後退現象は計測されなかったが,末端部の崩壊跡地斜面の岩盤には多くの亀裂発達がみられ,再度豪雨が発生するば,後退現象が生ずる可能性が高いことを確認した。この現象は,斜面を安定化させている末端部土塊の消滅を意味し,1.で示した崩壊跡地岩盤の強度低下現象とともに,時間の経過とともに再度,同様の斜面崩壊を引き起こす可能性が高くなることを示唆するものである。
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