2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14360108
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Research Institution | 東京水産大学 |
Principal Investigator |
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 秀一 東京水産大学, 水産学部, 教授 (80154053)
竹内 俊郎 東京水産大学, 水産学部, 教授 (70092591)
吉崎 悟朗 東京水産大学, 水産学部, 助手 (70281003)
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Keywords | 脂肪酸Δ6不飽和化酵素 / エイコサペンタエン酸 / ドコサヘキサエン酸 / cDNA |
Research Abstract |
本年度はEPA、DHAを合成する酵素を淡水魚からクローニングし、その構造および発現解析を試みた。特に脂肪酸を不飽和化させる酵素の一種である脂肪酸Δ6不飽和化酵素(Δ6-FAD)は、魚体内でEPA、DHAを合成する際の律速段階となりうる反応を担っていると考えられている。そこで、申請者はまず、冷水魚のヤマメと温水魚のティラピアからΔ6-FADのクローニングを行った。 ティラピアから1種類の、ヤマメからは2種類のΔ6-FADcDNAをクローニングすることに成功した。これらの遺伝子はそれぞれ、445,454,および452アミン酸をコードするオープンリーディングフレームを有していた。これらの3クローンは既知のΔ6-FADが有する特徴、すなわちチトクロームb5領域、2カ所の膜貫通領域、さらに3カ所のヒスチジンに富む領域を保有していた。また、ホモロジー解析の結果、これらのクローンは既知のΔ6-FADと高い相同性を示した(ヒトΔ6-FADとそれぞれ61,63%の相同性)。これらのΔ6-FADの発現解析を行ったところ、肝臓、脳、および腸で高い発現を示していた。 今回クローニングしたcDNAはその配列の既知配列との相同性やΔ6-FADに固有の構造を有していた点から、両種のΔ6-FADホモログであることが強く示唆された。特にヤマメにおいては、魚類で初めてΔ6-FADのアイソフォームの存在を証明した。これは、本種が淡水と海水の両方に生息するという生態的特徴とリンクしている可能性が有ると考えられる。また、本遺伝子の肝臓と脳に於ける高発現は、両器官が脂肪酸代謝に重要であることを示している。 今後は本cDNAの組換え体を作製し、その活性を解析するとともに、Δ5-FADをクローニングすることで、魚類のEPA、DHA合成の主要酵素群の分子レベルでの解析を行っていく予定である。
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Research Products
(1 results)