2004 Fiscal Year Annual Research Report
魚類耳石の微量元素組成および安定同位体組成による回遊履歴の解明
Project/Area Number |
14360109
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大竹 二雄 東京大学, 海洋研究所, 教授 (20160525)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
比屋根 肇 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (70192292)
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Keywords | 魚類 / 耳石 / Sr : Ca比 / 日周輪紋 / 回遊履歴 / アユ / マアナゴ / 炭素・窒素安定同位体比 |
Research Abstract |
1.アユの分布・回遊と成長 三重県宮川や岐阜県長良川における河川遡上アユおよび産卵場に来遊した成熟アユの耳石日周輪紋やSr : Ca比の解析から各個体の日齢、孵化日、遡上日齢、遡上時期を明らかにし、それぞれの採集時期(遡上時期や産卵時期)の間で比較検討した。その結果、孵化時期と海域での成長率が遡上時期と産卵時期を決定する主要な要因であることが明らかになった。すなわち早期艀化群および海域での成長がよい個体が早期に河川を遡上し、早期産卵群を形成することがわかった。また海域での成長率と河川遡上後の成長率の間に正の相関が認められた。さらに遡上前後のアユ稚魚の体組織の炭素・窒素安定同位体比を調べ、動物プランクトン食から付着藻類食への食性の転換過程を調べた。その結果、河口汽水域に分布する頃から付着藻類食に徐々に転換し、遡上直後から付着藻類食に転換することが明らかになった。三重県銚子川や福井県北川の最下流域に分布するアユ(シオアユ)の回遊履歴や体組織の炭素・窒素同位体比を調べ、それらが生活史を通じて河口汽水域を生息場とすること、また汽水性の付着藻類を餌としていることなどを明らかにした。これらのことはアユが生息環境に応じて河口汽水域をも生息場所として柔軟に利用している可能性を示唆している。 2.マアナゴの変態および接岸回遊過程 志摩半島や伊勢湾、および茨城県大洗に来遊したマアナゴの耳石日周輪紋やSr : Ca比の解析から、各個体の接岸日齢、接岸開始日齢、変態開始日齢、変態期間を明らかにした。いずれの場所に来遊した個体も接岸日齢、変態開始日齢が等しく、約3ヶ月間の海洋回遊を経て沿岸域に接岸し、その後約1ヶ月で変態を開始することが明らかになった。接岸過程に地域差が認められなかったことはマアナゴの産卵場や集団構造が単一でない可能性を示唆する。
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Research Products
(1 results)