2002 Fiscal Year Annual Research Report
特続可能な生態系の保全をベースとした魚類資源管理技術に関する生態学的研究
Project/Area Number |
14360115
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Research Institution | Hokkaido Tokai University |
Principal Investigator |
帰山 雅秀 北海道東海大学, 工学部, 教授 (80305937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 宏 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (00160177)
杉本 敦子 京都大学, 生態学研究センター, 助教授 (50235892)
和田 英太郎 総合地球環境学研究所, 教授 (40013578)
高田 壮則 北海道東海大学, 国際文化学部, 教授 (80206755)
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Keywords | 環境収容力 / サケ属魚類 / 固体群密度効果 / 持続的資源管理 / 生態系 / 生物多様性 / 物質循環 / 気候変動 |
Research Abstract |
(1)北太平洋におけるサケ属魚類のバイオマス動態予測:北太平洋に生息するサケ属魚類バイオマスの90%以上を占めるシロザケ、ベニザケおよびカラフトマスの環境収容力をリッカー型再生産曲線のreplacement levelから推定し、それらが長期的な気候変動とよくリンクすることを明らかにした。環境収容力と実際のバイオマスとの差をDCCとすると、北海道へ回帰するシロザケ親魚の体サイズはDCC2千万尾以下になると減少し、環境収容力と個体群密度効果とに密接な関係があることが示唆された。北大練習船おしょろ丸により行われたアラスカ湾におけるサケ属魚類の摂餌生態に関する研究の結果、新たな気候レジーム・シフトによる餌環境の変化が、サケ属魚類に卓越餌種の減少、餌ニッチ幅の増大、食物網における栄養段階の変化をもたらしていることが分かってきた。 (2)持続的生態系保全に向けた魚類資源管理:北太平洋におけるベニザケとシロザケのバイオマスはそれぞれ1980年代以降約2倍に増加したが、シロザケでは野生魚が0.7倍に減少し、孵化場魚のみが著しい増加を示した。この現象は孵化場による野生魚との置き換わりと見なされる。アラスカのブリストル湾アレクナギック湖で湖沼生態系を構成する生物の安定同位体比分析の結果、産卵回帰するベニザケが湖沼を含む湖畔林生態系の生物多様性と生産力の維持に貢献していることが明らかとなった。 (3)以上の研究成果は、本報告書の研究発表のほかに、次の国際シンポジウムにおいて報告された:Second International Symposium on Stcck Enhancement and Sea Ranching(基調講演・神戸)、20^<th> Wakefield Fisheries Symposium(ジュノー、アラスカ)、PICES Eleventh Annual Meeting(チンタオ・中国)、North Pacific Salmon Monitoring Workshop(ポートランド、オレゴン)。なお、国内ではシンポジウム3編(招待講演含む)、学会発表1編および研究集会4編の発表を行った。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Kaeriyama, M. et al.: "Change in feeding ecology and trophic dynamics of Pacific salmon in the central Gulf of Alaska in relation to climate events"Fisheries Oceanography. (in press).
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[Publications] 帰山雅秀: "レジーム・シフトはサケ属魚類のバイオマス動態と生活史に影響を及ぼすか?"月刊海洋. 35・2. 127-132 (2003)
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[Publications] Ueda, H. et al.: "Physiological mechanisms of homing migration in salmon"Fisheries Science. 68・Supple 1. 53-56 (2002)
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[Publications] Sugimoto, A. et al.: "Importance of permafrost as a source of water for plants in East Siberian Taiga"Ecol. Res.. 17. 493-503 (2002)
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[Publications] 杉本敦子, 一柳錦平: "水循環および気候システムの研究への同位体の利用-IAEAの会議(IWCMとICSYS)の報告-"天気. 49. 419-422 (2002)
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[Publications] Caswell, H, Takada, T.: "Elasticity analysis of density-dependent, strix population models : the invasion exponent and its substitutes"Journal of Theoretical Biology. (in press).
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[Publications] 帰山雅秀: "最新のサケ学"成山堂. 137 (2002)