2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14360117
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Research Institution | Fisheries Research Agency |
Principal Investigator |
釜石 隆 独立行政法人 水産総合研究センター, 養殖研究所・病害防除部, 研究員 (80344456)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗田 潤 独立行政法人 水産総合研究センター, 養殖研究所・病害防除部, 主任研究官
坂見 知子 独立行政法人 水産総合研究センター, 養殖研究所・生産システム部, 主任研究官
中易 千早 独立行政法人 水産総合研究センター, 養殖研究所・病害防除部, 研究員
伊東 尚史 独立行政法人 水産総合研究センター, 養殖研究所・病害防除部, 主任研究官
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Keywords | アコヤガイ / 感染実験 / 細菌培地 / ssrRNA / PCR / 単クローナル抗体 |
Research Abstract |
1)免疫学的探索:アコヤガイ病貝に対する単クローン抗体を作製し、その反応性を検討した。その結果、得られた抗体はアコヤガイ感染症を発症したアコヤガイの血リンパ液に反応することから、本疾病の診断液として有効であると考えられ、特許出願の準備を行っている。(伊東担当) 2)ウイルス学的探索:本年度は、過去の報告にある本症の病原体とされるウイルスの分離を目的として研究を行った。発症病貝の血リンパ液を0.45μmのフィルターで濾過後、報告に忠実にウイルス分離試験を行い、1ヶ月間観察したが、細胞変成効果は現れず、ウイルスは分離できなかった。盲継代においても細胞変成効果は現れず、報告は再現されなかった。一方でウイルス分離に使用した血リンパ液は,健常貝への接種試験により発症が確認された。よって本病原体は報告にあるウイルスとは別のものと考えられた(栗田担当) 3)細菌学的探索:病貝血リンパ0.45μm濾過液から分離された4種の菌株について,培養上性にアコヤガイ血球に対する障害活性が見られた。これらの菌はそれぞれVibrio, Tenacibaculum, Silicibacter, Agrobacterium,に近縁であった。中でもVibrio近縁株とTenacibaculum近縁株の障害活性が高かった。ヒツジ血液寒天培地を用いて溶血活性を測定したところ、Vibrio近縁株はα型溶血活性を示し,Tenacibaculum近縁株は、β型溶血活性を示した。Tenacibaculum近縁株につては、特異プライマーを作成し,PCRをした結果、病貝、能登貝ともに反応があり、制限酵素切断型も一致した。このため今回分離した菌はアコヤガイの大量死には直接の関係がないと考えられた。(釜石担当) 4)分子生物学的探索:養殖研のアクアトロンで飼育している健常貝と外套膜が赤変化した病貝、及び9月に愛媛より送付された現場の罹病貝について、血球中の細菌群集組成をPCR-DGGE法で比較した。その結果、飼育している貝(健常・罹病とも)に優先してみられたバンド(細菌種)が、愛媛より送付された貝ではみられず、現場で感染罹病している貝では血球中の細菌群集組成が異なることが示唆された。(坂見担当) 5)組織学的探索:本年度は病原体の分離・精製を目的として研究を行った。愛媛県の天然発症病貝の血液を採取し、血リンパ液をゲルろ過法によりいくつかのフラクションに分離した。病原体の存在を確認するため、各フラクションを超遠心して、その沈渣を電子顕微鏡により観察した。数種類の微小構造物は観察されたが、病原体の同定には至っていない。(中易担当)
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