2003 Fiscal Year Annual Research Report
家畜骨格筋量制御因子・ミオスタチン活性の細胞外マトリックスを介した調節機構解明
Project/Area Number |
14360156
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
西邑 隆徳 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (10237729)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 匡 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助手 (30230072)
服部 昭仁 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (50125027)
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Keywords | ミオスタチン / デコリン / 筋細胞 / 増殖・分化 / 細胞外マトリックス / 骨格筋 |
Research Abstract |
1.骨格筋量制御因子ミオスタチンとデコリンとの相互作用 昨年度、ミオスタチンとデコリンの相互作用を表面プラズモン法で調べた結果、両者の相互作用はpHによって影響され、酸性側でより大きな結合性を示したが、中性域ではほとんど結合性を示さなかった。そこで、今年度はin vivoのpHに近い中性域での相互作用を詳細に検討した。デコリンは亜鉛イオン結合性のメタロプロテインであることが報告されていることから、亜鉛イオン存在下でのデコリンとミオスタチンとの相互作用を表面プラズモン法で調べた結果、両者は中性pH下で結合することが示された。また、この条件下でデコリンのコアタンパク質もミオスタチンと相互作用した。100uM亜鉛イオン存在下でのカイネティックス解析の結果、ミオスタチンとデコリンおよびデコリンコアタンパク質の解離定数は、それぞれ2.0×10^<-8>M,2.0×10^<-9>Mであった。また、デコリンコアタンパク質と亜鉛イオンとの結合性を蛍光試薬TSQを用いて調べた結果、コアタンパク質に亜鉛イオンが結合することが確認された。以上の結果は、デコリンが生体内でもミオスタチンと相互作用する可能性を強く示唆している。今後は、両者の相互作用がどの領域に依存しているのかを合成ペプチドを用いて明らかにする予定である。 2.デコリンがミオスタチン活性に及ぼす影響 ミオスタチンの筋細胞に対する増殖抑制活性が外因性のデコリン添加によってどのように影響されるかを明らかにすることを目的に、ミオスタチン添加培地で培養した筋衛星細胞にデコリンを添加して、筋衛星細胞の増殖・分化様相をデコリン無添加の場合と比較検討した。ミオスタチンの添加によって筋衛星細胞の増殖は顕著に抑制されたが、ミオスタチンと共にデコリンを添加した区では、ミオスタチンによる筋衛星細胞の増殖抑制効果がやや低減した。このことは、筋衛星細胞に対するミオスタチンの増殖抑制効果にデコリンが影響を及ぼすことを示唆している。今後は、デコリンの影響が直接的なものか間接的なものかを明らかにするため、ミオスタチンの細胞内シグナル伝達がデコリン共存下でどのように影響されるか、および、デコリンを固定化した培養皿でミオスタチンを添加し培養した筋衛星細胞の増殖・分化能を検討していく予定である。
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