2004 Fiscal Year Annual Research Report
ウシ筋肉内脂肪細胞の新規な分化関連遺伝子の特定と脂肪交雑機構の解明
Project/Area Number |
14360162
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
麻生 久 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (50241625)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 高弘 東北大学, 農学研究科, 教授 (20111297)
大和田 修一 東北大学, 農学研究科, 助手 (00183244)
渡邊 康一 東北大学, 農学研究科, 助手 (80261494)
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Keywords | ウシ筋肉内脂肪前駆細胞株 / BIP細胞 / C-P4HαIII / 脂肪細胞分化 / 脂肪交雑 / collagen / hydroxylation / 細胞外マトリックス(ECM) |
Research Abstract |
サブトラクションにより分離したクローン4-3はNorthern blotの結果からも脂肪細胞分化誘導後に発現誘導していることが確認された。cDNAライブラリーより全長の遺伝子のクローニングを試みた結果、coding region全長をカバーするcDNAが得られた。ホモロジー検索の結果、collagen prolyl 4-hydroxylase alpha III(C-P4HαIII)であることが判明した。C-P4HαIIIはcollagenのPro残基のhydroxylationを触媒して4-hydroxyprolineを形成し、この反応はcollagenがトリプルヘリックス構造を形成するために必要不可欠で、βsubunitのPDI活性とともにcollagenのrefoldingを担っている重要な酵素である。BIP細胞の脂肪細胞分化誘導時のmRNA発現の経時変化をRT-PCRにより解析した結果、C-P4HαIIIは分化に伴い発現が増加していることが確認された。また、C-P4HαIIIの組み換え型蛋白質を用いてモノクローナル抗体を作成し、Western blotを行った結果、BIP細胞の脂肪分化に伴い蛋白質発現が増加していることが確認された。さらに、組織におけるC-P4HαIIIのmRNA発現を検討したところ、ほとんどの組織において発現が確認され、組織特異性は認められなかった。しかし、C-P4HαIIIの蛋白質発現はRT-PCRで得られた結果とは異なり、脂肪組織・骨格筋(胸最長筋、半腱様筋)において強く発現していることが確認された。本研究によりECMの主要構成成分であるcollagenのrefoldingに必要不可欠とされるC-P4HsのαsubunitであるC-P4HαIIIがBIP細胞の脂肪細胞分化誘導時に発現誘導が認められたことは、脂肪細胞分化誘導時に起こるECM再構築にC-P4HαIIIが関与していることを示唆するものであった。また、脂肪組織および骨格筋においてmRNA発現量に比べ、蛋白質発現量が非常に高いことが明らかとなった。C-P4Hα(III)は分泌とも、膜結合タンパク質ともいわれておりその存在形式はまだ明らかになっていないが、translationまたはposttranslationalな調節機構が存在すると考えられる。また、脂肪組織および骨格筋においてタンパク質発現が非常に多いことから、脂肪細胞分化・特に筋肉内脂肪組織形成初期に重要な役割を担っていると考えられ、脂肪交雑形成において、重要な知見の一つと考えられる。
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Research Products
(6 results)