2004 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類卵子における遺伝子発現プログラムの初期化機構の解明
Project/Area Number |
14360164
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
青木 不学 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (20175160)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 仙吉 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (80114487)
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Keywords | 遺伝子発現リプログラミング / 初期化 / 未受精卵 / 核移植 |
Research Abstract |
分化した体細胞核が未受精卵細胞質中でリプログラミングされるためには、まず体細胞特異的な遺伝子発現様式が初期化されなければならない。体細胞分裂期において分化した細胞特有の遺伝子発現様式は、親細胞で発現していた遺伝子の制御領域に様々なマーカーが付けられることによって娘細胞に受け継がれるといわれており、cell memoryと呼ばれている。そこで「初期化にはcell memoryの消去が必要」との仮説を立てて、cell memoryマーカーの候補である基本転写因子TBPの挙動とDNA一本鎖化状態が、未受精卵細胞質中で体細胞の初期化が起こる際にどのように変化するのか解析することにした。 分裂間期に活発に発現している遺伝子の制御領域が細胞分裂期で一本鎖化されることから、DNAの一本鎖化がcell memoryを維持するマーカーの候補として考えられている。そこで、Sl nucleaseに対する感受性でDNAの一本鎖化状態を調べたところ、体細胞分裂期に比べて減数分裂期で著しく感受性が下がっていた。さらに、体細胞核を未受精卵に移植して凝集した染色体を調べたところ、これも感受性が低かった。したがって、未受精卵中の染色体は、cell memoryを残していない状態である事が示唆された。 更に、EGFP-taggedTBPの発現vectorをNIH3T3細胞にtransfectionした後、未受精卵細胞質への核移植実験を行った。体細胞分裂期にはほとんどの転写因子がDNAから離れていくが、TBPはDNAに結合したままであることが報告されている。実験の結果、間期及び分裂期のNIH3T3核に検出されるEGFPシグナルが核移植後に消える事を確認できた。 これらの結果から、DNAの一本鎖化とTBPによって維持されるcell memoryの消去が初期化機構に関与していることが示唆された。
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Research Products
(6 results)