2002 Fiscal Year Annual Research Report
コレステロール生合成系中間代謝産物による新たな細胞制御機構の解明
Project/Area Number |
14360176
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
尾崎 博 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (30134505)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松永 茂樹 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (60183951)
堀 正敏 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (70211547)
佐藤 晃一 山口大学, 農学部, 助教授 (90205914)
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Keywords | イソプレノイド化合物 / コレステロール代謝 / 平滑筋 / カルシウムチャネル / 動脈硬化 / 細胞増殖 |
Research Abstract |
コレステロールは動物細胞の膜構成成分であるだけでなく、胆汁酸、ステロイドホルモンの前駆物質となり、その生合成系は極めて重要である。さらに、その中間代謝産物のイソプレノイド化合物のなかで、ファルネシルピロリン酸が低分子量GTP結合蛋白質rasやrhoAをプレニル化することで活性化し、癌や細胞増殖に影響することや、ファルネソールがL型Caチャネルを抑制することなどが近年相次いで報告され、生体におけるイソプレノイド化合物の生理活性作用が注目され始めている。本研究では、海綿が産生するイソプレノイド化合物群ステレッタマイドファミリーと、生体内イソプレノイド化合物群の生理活性作用を、カルモジュリン、L型Caチャネル、蛋白質のプレニル化、およびコレステロール生合成系について検討し、その構造活性相関を明らかにすることを目的としている。そして、それらの成績をもとに、生体内でのイソプレノイド化合物の新たな機能を解明する。本年度の研究により、以下の知見が得られた。 1)構造活性相関による検討から、イソプレノイド鎖はCaチャネルの阻害に重要であり、ステレッタマイドファミリーにおけるCaM阻害にはイソプレノイド鎖とアルカロイド部位の立体配置が重要であることが示唆された。 2)血管の器官培養法を用いたウシ胎児血清誘発血管肥厚モデルにおける、ステレッタマイドA、ファルネソール、ビタミンEの効果について検討した。ウシ胎児血清処置により、血管は増殖性変化を引き起こし、その収縮能は顕著に低下した。この血管の収縮抑制作用に対して、ファルネソール、ステレッタマイドA、ビタミンEはいずれも回復効果を示し、その作用はビタミンEで最も強かった。しかし、血管肥厚に関しては、ビタミンEには肥厚抑制は認められず、ステレッタマイドAとファルネソールには有意な肥厚抑制が認められた。 今後、これらの血管肥厚モデルに対する薬理作用機序についてさらに検討を加えていく。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Takahisa Murata, Koichi Sato, Masatoshi Hori, Hiroshi Ozaki, Hideaki Karaki: "Decreased eNOS activity resulting from abnormal interaction between eNOS and its regulatory proteins in hypoxia-induced pulmonary hypertension"J. Biol. Chem.. 277. 44085-44092 (2002)