2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14360191
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
稲葉 俊夫 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 教授 (00137241)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷 浩行 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 助手 (00305658)
熊谷 大二郎 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 助手 (70316016)
杉浦 喜久弥 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 助教授 (30171143)
鳥居 隆三 滋賀医科大学, 動物生命科学研究センター, 教授 (50106647)
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Keywords | イヌ / 発情誘起 / 胚性幹細胞 / ES細胞 / 性腺刺激ホルモン放出ホルモン / エストロジェン / アロマターゼ遺伝子 / エストロジェンレセプター遺伝子 |
Research Abstract |
イヌ胚盤胞期胚供給のための基礎的技術の確立として、雌イヌの発情回帰におけるエストロジェンの役割について検討するとともに、エストロジェンと性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)の徐放剤を用いて、雌イヌの発情の人為調節を検討した。さらに、卵巣刺激後、雄イヌと交配させた雌イヌから、胚盤胞期胚の採取とES細胞(胚性幹細胞)株の樹立を試み、以下の結果を得た。 1.雌イヌにおいては、視床下部中エストロジェン合成酵素であるアロマターゼ遺伝子の発現量が発情開始に先立って増加するとともに、視床下部および下垂体中エストロジェンレセプターαおよびβ遺伝子の発現量も併行して増加することが明らかとなった。 2.GnRHの経鼻投与により雌イヌの発情誘起が可能であり、エストロジェンの経口投与との併用により、さらに効率よく発情誘起できることが示された。 3.発情誘起後、雄イヌと自然交配した雌イヌの子宮から胚盤胞期胚を採取する時期を検討した結果、交配後15〜16日目においてES細胞を分離するのに適した胚が得られることが分かった。 4.胚盤胞期胚の内部細胞塊を分離後、マウス胎仔線維芽細胞と共培養した結果、分化した細胞に混ざって形態的に細胞質が少なく、相対的に核の占める割合が多いES細胞と思われる細胞のコロニーを選別することができた。本細胞はマウスやカニクイザルのES細胞と同様に強いアルカリ性ホスファターゼ活性を有していることが示された。継代培養することにより、拍動する心筋などに分化することが観察された。 以上の結果のように、イヌ胚盤胞期胚を効率よく採取する方法を確立し、ES細胞と思われる細胞コロニーを分離することができ、細胞の性質や細胞株の樹立方法については、現在さらに本実験を継続して検討中である。
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Research Products
(1 results)