2003 Fiscal Year Annual Research Report
新技術による野生動物の生息地利用とその保全のための応用に関する研究
Project/Area Number |
14360198
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高槻 成紀 東京大学, 総合研究博物館, 助教授 (00124595)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳥居 春巳 奈良教育大学, 自然環境教育センター, 助教授 (40273825)
青井 俊樹 岩手大学, 農学部, 教授 (70125277)
|
Keywords | GPS発信器 / ニホンジカ / ニホンカモシカ / イノシシ / 行動圏 / 農業被害 |
Research Abstract |
昨年度,カモシカは岩手県盛岡市近郊の岩手大学演習林,ニホンジカは宮城県金華山島と富士山北麓,イノシシは福井県内に選ぶこととした.カモシカは2003年5月9日に2歳のオスの捕獲に成功した.GPS機能による詳細な生息地利用は発信器を脱落させてから解析をする予定であるが,VHFによる追跡もおこなっており,その結果は行動圏は10ha前後と非常に狭く,行動距離も100m以内にすぎなかった.これまでのところ行動圏に季節変化はみとめられていない.ニホンジカは金華山島において2003年3月上旬に3頭のメスを麻酔銃で捕獲し,発信器の装着に成功した.その後,VHFによる追跡はおこなっていないが,比較的見通しのよいところにいる1頭は頻繁に観察された.3頭のうちの1頭は5月に死体が発見され,発信器を回収した.別の1頭は2004年3月11日に麻酔捕獲し,発信器を回収した.現在そのデータを解析中である.またもう1頭は2004年4月に捕獲予定である.富士山麓の3頭は.イノシシは福井県での比較が困難であり,検討の結果宮崎県に候補地を見いだした.そして2004年2月にイノシシ1頭を捕獲し発信器を装着して放逐した. このように全体としては2年目はGPS発信器の性能の確認と装着に集中した.その結果,GPS発信器は数メートルというきわめて高い精度で動物の位置を特定できることが確認された.ニホンジカ6頭,カモシカ1頭,イノシシ1頭に装着することができた.捕獲の困難ななか生け捕りをし,装着ができたことは成功であった.そして現在ニホンジカ2頭の脱落発信器について蓄えられたデータの解析をおこなっている.3年目は春から初夏にかけて脱落させ,データ解析が可能となる.
|