2003 Fiscal Year Annual Research Report
寄生蜂に殺虫活性を持つ昆虫ポックスウイルス由来の毒素タンパク質の分子機構の解明
Project/Area Number |
14360200
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
仲井 まどか 東京農工大学, 農学部, 助教授 (60302907)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平岡 毅 東京農工大学, 農学部, 助教授 (10238339)
国見 裕久 東京農工大学, 農学部, 教授 (50195476)
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Keywords | 昆虫ポックスウイルス / 寄生蜂 / 毒素タンパク質 / アワヨトウ / カリヤコマユバチ |
Research Abstract |
研究計画に基づき、アワヨトウ昆虫ポックスウイルス(MyseEPV : Mythimna separataEPV)由来の寄生蜂に殺虫活性を持つ毒素タンパク質(PLCK : Protein Lethal to Cotesia kariyai)について以下の研究を行った結果を要約する。 PLCK遺伝子塩基配列の決定:前年に引き続き、PLCK遺伝子をクローニングし、そのORFの完全長の塩基配列を決定した。PLCK遺伝子は、約1.5kbpであり、他のポックスウイルスやシロモンヤガ顆粒病ウイルスにホモログが認められた。 PLCKの作用機構の解明:アワヨトウ4齢幼虫にMyseEPVを経口接種した。このアワヨトウ幼虫に、ギンケハラボソコマユバチおよびカリヤコマユバチをそれぞれ寄生させ、両種寄生蜂の発育と生存を調査した。また、MyseEPV感染虫の体液からウイルス粒子を除去した分画(VFP : Virion Free Plasma)を調整し、4齢被寄生アワヨトウ幼虫の血体腔に注射し、上記2種寄生蜂の発育と生存を調査した。さらに、宿主体内から寄生蜂幼虫を培地中に取り出し、in vitro飼育でVFP添加が両種寄生蜂の生存に及ぼす影響を調査した。これら結果から、PLCKは、カリヤコマユバチには致死活性を持つが、ギンケコシボソコマユバチには致死活性をもたないことが明らかになった。 PLCKの作用部位の解明:in vitro飼育したカリヤコマユバチおよびギンケハラボソコマユバチ幼虫にVFPを処理した。また、精製したPLCKをマウスに注射し、抗PLCK血清を作製した。上記のVFP処理された寄生蜂幼虫をブアン固定し、パラフィン包埋後作製した切片を抗PLCK血清を用いて免疫染色を行いPLCKが両種寄生蜂に及ぼす影響を、組織学的に観察した。 現在、上記の結果をまとめて投稿論文を準備中である。
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