2004 Fiscal Year Annual Research Report
リガンド分子を機軸とした線虫のインスリンシグナリングの多様性に関する研究
Project/Area Number |
14360208
|
Research Institution | National University Corporation Tottori University |
Principal Investigator |
河野 強 国立大学法人鳥取大学, 農学部, 助教授 (50270567)
|
Keywords | インスリン / 線虫 / 寿命 / 休眠 |
Research Abstract |
線虫のインスリン様ペプチドCeinsulin-1,-2の生理機能を詳細に解析することを目的として、まず、遺伝子破壊線虫の作出を行った。TMP/UV法により染色体上にランダムに欠失変異を生じさせ、PCRにより増幅したDNA断片の長さを指標として目的の遺伝子に欠失を有する線虫を選別した。塩基配列分析により、Ceinsulin-1遺伝子破壊線虫(tm339)ならびにCeinsulin-2遺伝子破壊線虫(tm790)の欠失部位を解析したところ、tm339では第2、第3エクソンを含む約1.4kbが、tm790では第1、第2エクソンを含む約0.6kbの欠失が確認できた。 次いで、得られた遺伝子破壊線虫について野生株との戻し交雑を行うことにより純化し、寿命測定ならびに休眠率の測定を行った。tm339では僅かながら延命が認められ、tm339は若干短命であった。また、両遺伝子破壊線虫は通常の飼育条件では休眠が認められなかったが、休眠誘導フェロモン粗抽出物を添加して休眠を誘導したところ、tm339は野生株と比較して著しく休眠率が上昇した。一方、tm790は野生株と比較して著しく低い休眠率を示した。以上のことから、Ceinsulin-1,-2はインスリンシグナルをそれぞれ正負に制御する可能性が示唆された。 また、新たに同定したインスリン様ペプチドCekmsulin-3の遺伝子工学による発現系を構築した。マルトース結合タンパクとの融合タンパクとして発現し、アフィニティークロマトグラフィーによる精製後、factor Xa消化を行い、目的のペプチドを遊離させた。次いで、逆相HPLCによる精製を行い、目的のペプチドを得た。アミノ酸配列分析ならびにMALDI-TOF-MSによる質量分析により3対のジスルフィド結合の形成を確認した。さらに、受容体DAF-2のcDNAクローニングを終え、哺乳動物用発現プラスミドの構築を完了した。
|