2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14370008
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
澤田 元 横浜市立大学, 医学部, 教授 (90101112)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 人志 横浜市立大学, 医学部, 講師 (70240033)
菅野 洋 横浜市立大学, 医学部, 助教授 (40244496)
出澤 真理 横浜市立大学, 医学部, 講師 (50272323)
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Keywords | 骨髄間質細胞 / STAT / 神経分化 / Notch / myoblast / myotube / MyoD / Hes5 |
Research Abstract |
神経細胞への分化誘導の過程、および骨格筋への分化誘導の各過程でRNAを採取、種々の遺伝子の発現について調べてみた。骨髄間質細胞は造血系マーカー(CD34)、血管内皮マーカー(ICAM-1)、マクロファージのマーカー(CD11b/c)を持たず、これらの細胞とは無縁であることが示唆された。一方で間葉系のマーカー(Thy-1)を発現しており、間葉系であることが示された。分化誘導の関連因子としては骨髄間質細胞はその段階で既にMash1などneurogenicな遺伝子やHes5のようなglia系の遺伝子を発現しており、全く、未分化というわけではなかった。むしろ多様な分化マーカーを発現していて、何らかの刺激により特定の方向へcommitされるのではないかと考えられた。神経へ誘導するために、この細胞にNotchを導入すると、それまで骨髄間質細胞で強陽性であったSTAT1、STAT3が消失した。STATはES細胞などで未分化状態の維持に役割を果たしていることが知られているが、神経系ではgliogenicに働くとされている。従って、STATがoffになることで、神経とgliaの両方の性質を併せ持っていた骨髄間質細胞が、神経への道へcommitされたものと考えられる。これにサイトカインによりさらに神経誘導をかけることで、神経への分化が促進されるものと考えられた。 この考えはNeuroDのプロモーター活性がNotch導入で下がるが、その後サイトカイン刺激で増加すること、GFAPのプロモーター活性がNotch導入で下がり、さらにサイトカイン刺激で下がるというLuciferaseアッセイの結果でも支持されていると考えられる。 また、Notchのdeltetion mutantを用いた実験でこの神経誘導活性は細胞内の特定のドメインにあることが示されてきた。 筋肉への分化では、骨髄間質細胞にはMyoD、myogeninなどmyogenicな遺伝子は発現していないが、myoblast、myotubeに分化させるとこれらの遺伝子を発現した。これらのmyogenicな遺伝子がこの系でも筋分化に量要な役割を果たしていることは間違いないと考えられる。一方、骨髄間質細胞の段階から筋分化を促進するとされるHes6を発現している。一方、筋肉誘導の場合、Notchを導入してもSTAT活性は下がらず、myoblast、myotubeを通してSTAT1、3ともに陽性であった。現在、筋肉誘導に関して、Notchやサイトカイン刺激がmyogenicな遺伝子を発現させるメカニズムについて理路整然とした解釈はまだできないが、今後さらに様々な重要な因子の活性をはかっていく予定である。
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