2002 Fiscal Year Annual Research Report
イメージングと膜電流の同時測定によるATP感受性Kチャネルの機能解析
Project/Area Number |
14370012
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鷹野 誠 京都大学, 医学研究科, 講師 (30236252)
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Keywords | Kir6.2 / SUR / ATP |
Research Abstract |
心臓において,フォスフォリパーゼ-C(PL-C)信号伝達系は,心肥大を引き起こすことが知られている。PL-Cの活性化はIP_3の産生と同時に細胞膜中のPIP_2の枯渇をもたらす。PIP_2は強力なATP感受性Kチャネル(K_<ATP>)活性化作用をもつため,PIP_2の枯渇はK_<ATP>の制御においても重要な機能を有していると予想される。通常,PL-C信号伝達系の活性化はIP_3によるCa濃度の上昇を指標として測定するが,心筋細胞ではIP_3による顕著なCaの遊離は起こらないといわれている。そのため心筋細胞においてPL-C信号伝達系の活性化をリアルタイムに測定しつつ,生理学的実験を行うことは不可能であった。しかしながら近年,発光クラゲ由来の緑色蛍光蛋白質(GFP)とPL-CのPIP_2結合部位(Plecktrin-homology domain>とを遺伝子工学的に融合した人工レポーター分子(PHD-GFP)により,PL-C信号伝達系を生きた細胞内で可視化することが可能になった。すなわちPHD-GFPは形質膜中のPIP_2含量が高いときには細胞膜に結合しているが,PL-Cの活性化によって細胞膜中のPIP_2が減少し,細胞質中のIP_3が上昇すると,PHD-GFPはそれに一致して細胞質に移動する。本研究ではこのPHD-GFPを作成し,心筋細胞のPL-C信号伝達系を可視化するに成功した。その結果,心筋細胞においてPL-Cの活性化によって細細胞膜中のPIP_2が減少すると同時にpinacidilによって活性化されたK_<ATP>チャネル電流が抑制されることを初めて明らかにした。 PIP_2によるK_<ATP>チャネルの活性化機構としては,PIP_2の陰性電荷による静電気的作用が考えられている。さらにPIP_2はSUR・Kir6.2分子間の会合状態の変化させる可能性も示唆されている。平成15年度はSURとKir6.2分子間の相互作用を可視化するためにFluorescent Resonance Energy Transfer (FRET)を応用することを試みる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Haruna T, Yoshida H, Nakamura TY, XieLH Ohtani H, Ninomia T, Takano M, et al.: "α1 Adrenoceptor-mediated breakdown of phosphatidyl-inosital-4,5-bisphosphate inhibits pinacidil-activated KATP currents in rat ventricular myocytes"Circulation Research. 91. 232-239 (2002)
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[Publications] Kubota T, Horie M, Takano M et al.: "Stretch-induced enhancement requires KvlQT1, but not KCNEI subunit, as a mechanosensitive sensor"Japanese Journal of Physiology. 52. 32-39 (2002)