2003 Fiscal Year Annual Research Report
心筋L型Caチャネル制御機構ミッシングリンクを補う再構成系
Project/Area Number |
14370013
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山岡 薫 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (10200586)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 英司 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (80304418)
|
Keywords | L型Caチャネル / リン酸化 / ラット / アデノウイルス / イオン選択性 |
Research Abstract |
心筋L型CaチャネルはAキナーゼを介するリン酸化により、細胞外より電位依存性にCa^<2+>流入を増大させ、心筋収縮力の増強につながる調節をうける。この調節は非常に大きく、生体の心筋より単離した心筋細胞に最大のリン酸化刺激を与えると元の電流の数倍〜5-6倍までの電流増大が見られる。またL型Caチャネルのαサブユニットの遺伝子配列は明らかになっており、αサブユニット単体のみでCaチャネルの機能を果たすことが同遺伝子を異細胞に発現機能させる事により判明した。ただし、その機能発現はCa流入という部分のみであり、リン酸化制御においてははなはだ不完全であり、リン酸化機構の解明において重大な障害となっている。本研究は、その障害を取り除くことを目的とするものである。 Caチャネル遺伝子を異細胞に発現させる場合、導入したチャネルの機能を測定するために元来細胞はCaチャネルを有さないものを利用してきた。ところが、このようなシステムにおいてリン酸化制御機能が再現せず、心筋細胞には存在する何らかの因子がその異細胞には欠損しているのではないかと推測されるに至った。そこで我々は心筋そのものにCaチャネル遺伝子を発現させることに思い至った。そのことを実現させるためには1)本来心筋に備わっているCaチャネルと導入したCaチャネルの機能の区別、2)確率の低い生体の心筋への遺伝子の導入の二つの問題を解決する必要がある。第一点においては本年度我々はラット心筋Caチャネルのイオン選択性フィルター部位の変異を行い、Na透過性にすることを可能にした(もともと存在するチャネルはCa電流、導入したチャネルはNa電流を流す)。したがって、今後培養技術の確定しているラット心筋にNaイオンを選択的に通すラットL型Caチャネルを導入する準備が出来た。第2点において、遺伝子導入時のベクターをアデノウィルス由来とすることによって導入効率をあげる事とし、同ラット遺伝子を当該ベクターに組み込むところまでに至った。今後心筋に導入可能なウィルス粒子の増幅、さらに実際に心筋に発現可能かを確認する工程が残されることとなった。
|
Research Products
(1 results)