2004 Fiscal Year Annual Research Report
中枢性浸透圧受容機構に関する統合的研究-新規ペプチドならびに環境ストレスによる修飾-
Project/Area Number |
14370024
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
河南 洋 宮崎大学, 医学部, 教授 (00049058)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
國武 孝人 宮崎大学, 医学部, 助手 (20234461)
加藤 和男 宮崎大学, 医学部, 助手 (80284834)
石塚 雄太 宮崎大学, 医学部, 講師 (20264377)
白阪 哲朗 宮崎大学, 医学部, 助手 (00274788)
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Keywords | ニューロメジンU / 自由行動・意識下ラット / 心血管系 / 交感神経活動 / 脳スライス実験 / パッチクランプ法 / 視床下部室傍核 / I_h電流 |
Research Abstract |
脳スライス実験:視床下部室傍核(PVN)ニューロンの浸透圧並びにナトリュウム受容メカニズムについて検討した。実験はホールセル・パッチ法を用いて、電気生理学的に分類した大細胞性ニューロンに対する高張性の食塩水とマニトール液の灌流による効果を検討した。 大細胞性ニューロン:高張性食塩水とマニトール液いずれに対しても濃度依存的に脱分極並びに誘発活動電位増加が認められた。しかし負荷した浸透圧レベルに対しての応答を比較すると、マニトール液より食塩水による反応が大きかった。次にこれら受容に関わるメカニズム解明のため、電圧固定法で誘発電流解析を行った。高張食塩水により内向き電流が認められ、その平衡電位は約-33mVであり、また機械(メカノ)チャネルのブロッカーであるGdによりこれらの反応は阻止された。また食塩水灌流により誘起された興奮性後シナップス電位(EPSP)はグルタミン酸レセプターの拮抗剤により消失した。 これらの結果より、室傍核の大細胞ニューロンには、視索上核(SON)ニューロンについて、既に報告されている伸展により不活性化されるチャネルと、グルタミン酸性シナップス入力を介して浸透圧受容を行っていることが示唆された。さらにナトリュムに選択的に反応する機構も備わっていることが示唆された。 免疫組織化学的研究:高張食塩水をラット側脳室へ注入し、まず脳脊髄液中のNa濃度の上昇度を測定した。このために信州大学の能勢教授から指導して頂き、測定用Na電極を作成した。0.3MNaClを1μl/minのスピードで20分間注入したところ、暑熱環境下において認められるのに相当するNa濃度上昇が認められた。この条件下で脳内の活性部位をc-Fosの免疫組織化学方法により検索した。終板器官、正中中心核、SON,PVNと最後野に投与濃度に依存してc-Fos活性が認められた。しかし脳弓下器官では認められなかった。バゾプレッシンレセプターV_1のアンタゴニスト(非ペプチド性、大塚製薬)の前処置(脳室内投与)により高張食塩水投与によるPVNのc-Fos活性が有意に減弱した。しかしその他上記部位では変化が認められなかった。これらの結果より浸透圧負荷に対する脳内適応反応に内因性バゾプレッシンが少なくとも一部関わっておることが示唆された。
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Research Products
(6 results)