2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14370031
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鍋島 俊隆 名古屋大学, 医学部附属病院, 教授 (70076751)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新田 淳美 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教授 (20275093)
山田 清文 金沢大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (30303639)
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Keywords | βアミロイド / アルツハイマー病 / 一酸化窒素 / 誘導型NO合成酵素 / チロシンニトロ化 / シナプトフィジン / インターロイキン-1β / 腫瘍壊死因子 |
Research Abstract |
本研究課題では、アルツハイマー病の原因物質と考えられるβアミロイドを脳室内へ持続注入したラットにおける脳機能障害のメカニズムを検討した。本年度は、βアミロイドを注入したラットの海馬切片における長期増強(LTP)の障害とニコチン受容体機能との関係を検討した。その結果、(1)βアミロイドを注入したラットの海馬ではα7ニコチン性アセチルコリン受容体(α7-nAChR)アゴニストに対する反応性が低下した。(2)α7-nAChRアンタゴニストは正常動物の海馬LTPを障害した。(3)α7-nAChRアゴニストの前処置はβアミロイド注入ラットのLTPの障害を改善した。したがって、βアミロイドにより誘発されるLTPの障害にはα7-nAChRの機能障害が関係しており、このニコチン受容体サブユニットがアルツハイマー病治療薬の標的分子となることが示唆された。さらに、βアミロイドを海馬内に注入したラットの短期記憶障害に対するアルツハイマー病治療薬ドネペジルとメマンチンの効果について、delayed matching to position (DMTP)課題を用いて調べた。その結果、(4)βアミロイド注入ラットは遅発性で持続性の短期記憶障害を示した。(5)弱いNMDA受容体アンタゴニスト作用を有するメマンチンはβアミロイドによる短期記憶障害の形成を抑制し、(6)アセチルコリンエステラーゼ阻害薬であるドネペジルは短期記憶障害を一時的に改善した。以上の結果より、βアミロイドにより誘発される記憶障害に対するNMDA受容体アンタゴニストの有効性が示唆された。
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Research Products
(42 results)