2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14370061
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
山泉 克 熊本大学, 発生医学研究センター, 教授 (70107093)
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Keywords | ヒトRAD18 / XPV / polη / ゲノム不安定性 / ヒトRad6 / TLS |
Research Abstract |
DNA損傷に伴い、S期でのDNA複製は損傷部位で一次的に停止する。紫外線により誘導されるピリミジン2量体は他の損傷と比べて修復効率が悪いためしばしばこのような複製停止をもたらす。正常ヒト細胞ではDNA複製酵素であるポリメラーゼエータ(polη)がピリミジン2量体部位をエラーなしで乗り越え(translesion synthesis:TLS)複製することで複製の中断を回避する。日光露光部に高頻度で皮ふ癌を発症するバリアント型色素性乾皮症(XPV)ではpolηが欠損するため、ピリミジン2量体部位で誤まりがちなTLSが働くため、遺伝子に高頻度で突然変異が導入されるものと考えられている。TLSの際、polηは核内の複製停止部位に一致してフォーカスを形成することがイギリスの研究グループにより明らかにされている。我々はpolηの上位で働くと考えられるRad18の機能解析を行う中で、紫外線照射後に形成されるpolηフォーカス形成がRad18ノクアウト細胞では起らないことを見出した。更に、このpolηフォーカス形成不全は正常ヒトRad18を発現することで回復することが明らかとなった。またRad6結合部位を欠損するRad18を上記Rad18ノックアウト細胞内で発現させてもpolηのフォーカス形成の回復が見られないことから、polηの複製停止部位への集積にはRad18及びRad6が必須であることを示した。更にRad18の一部はpolηと直接結合しており、polηのフォーカス部位では両者が共局在化することも明らかにした。Rad18は単鎖DNAへ結合する活性をもつことから、複製停止部位に形成される単鎖DNA状のギャップを標的としてRad18がpolηを複製停止部へロードするモデルを提唱している。またDNA損傷に伴いRad18、Rad6依存性にPCNAがモノユビキチン化されることが明らかとなった。 ヒトでの発癌過程でのRad18経路の関与を調べる目的から、各種ヒトがん細胞株でのRad18の発現量及び紫外線照射後のPCNAのユビキチン化の程度をウェスタンブロット法で検討した。いくつかの細胞株ではRad18の発現量に有意の低下があることがわかった。更に興味深いことにRad18の発現量は正常であるにもかかわらず、紫外線照射後のPCNAモノユビキチン化がほとんど起らない細胞株が見つかった。これらの細胞株ではRad18遺伝子に突然変異の可能性が高く、現在遺伝子解析の準備を進めている。
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[Publications] Sonoda, E., et al.: "Multiple roles of Rev3, the catalytic subunit of polz in maintaining genome stability in vertebrate"The EMBO Journal. 22(12). 3188-3197 (2003)
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[Publications] Takagi, Y., et al.: "Roles of MGMT and MLH1 proteins in alkylation-induced apoptosis and mutagenesis"DNA Repair. 2. 1135-1146 (2003)
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[Publications] Ren, Y., et al.: "Three novel mutations responsible for Cockayne syndrome group A"Genes & Genetic Systems. 78. 93-102 (2003)
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[Publications] Tateishi, S., et al.: "Enhanced genomic instability and defective postreplication repair in RAD18 knockout mouse embryonic stem cells"Molecular and Cellular Biology. 23(2). 474-481 (2003)
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[Publications] Okada, T., et al.: "Involvement of verebrate Pol in Rad18-dependent postreplication repair of UV damage"Journal of Biological Chemistry. 277(50). 48690-48695 (2002)
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[Publications] Yamashita, Y.M., et al.: "RAD18 and RAD54 cooperatively contribute to maintenance of genomic stability in vertebrate cells"The EMBO Journal. 21(20). 5558-5566 (2002)