2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14370061
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
山泉 克 熊本大学, 発生医学研究センター, 教授 (70107093)
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Keywords | ヒトRAD18 / XPV / polη / ゲノム不安定性 / ヒトRad6 / TLS / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
紫外線照射により形成されるピリミジン2量体等のDNA損傷は修復効率が悪いため、しばしばDNA複製阻害の原因となる。Rad18はバリアント型色素性乾皮症(XPV)の原因遺伝子がコードするポリメラーゼη(polη)と結合して、複製停止部位へpolηを誘導し、Rad6と共同してPCNAをモノユビキチン化することで、polηによる損傷乗り越え複製を制御することを明らかにした。またRad18自身、分子内にあるZnフィンガー領域を介して2量体を形成し、互いに他をモノユビキチン化することで、核内から細胞質へと局在を変化させ、核内における有効量の調整を行っていることも明らかになってきた。Rad18ノックアウト細胞(Rad18^<-/->)では紫外線の他、種々のDNA損傷に対しても感受性を示し、また損傷の有無にかかわらず姉妹染色分体交換(SCE)の頻度が正常細胞と比べて著しく増加していること、更に相同組換えの割合も上昇し、精巣での発現量が圧倒的に多いことから減数分裂の過程にも関与している可能性を指摘してきた。Rad18蛋白欠損に伴う病態を解析するためにはこの遺伝子に変異をもつ患者の発見が極めて重要となる。日常的検査でその異常を検出する簡便な方法の開発が望まれてきたが、初代培養細胞を用いて紫外線照射後のPCNAのモノユビキチン化の有無を指標とする検出方法を開発した。これにより光線過敏を主症状とする患者のスクリーニングが可能となった。またヒト疾患のモデルとして既にRad18ノックアウトマウスを樹立している。このマウスは正常に生まれ発育も正常であるが、10ヶ月前後から雄は不妊症を示すようになる。精巣の重量は正常マウスの1/3近くまで減少し、精子形成の幹細胞が加齢と共に減少することがわかり始めた。一方、雌マウスでは今のところ異常が検出されていないので精子幹細胞維持にRad18が特異的に関与していることが示唆される。現在更にヌクレオチド除去修復に異常をもつXPAノックアウトマウスとかけ合わせたRad18^<-/->Xpa^<-/->ダブルノックアウトマウスを作製し、その解析を始めた。
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Research Products
(2 results)