2004 Fiscal Year Annual Research Report
消化管癌の細胞不死化制御機構におけるDNAミスマッチ修復系不活化の関与
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14370070
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
横崎 宏 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10200891)
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Keywords | 胃癌 / 大腸癌 / 細胞不死化 / DNAミスマッチ修復系 / テロメア / テロメラーゼ / DNA組換え機構 / アポトーシス |
Research Abstract |
本研究は、マイクロサテライト不安定性消化管癌並びにそれらの前癌性病変臨床検体を用いて、1)テロメア維持機構、2)細胞不死化におけるDNAミスマッチ修復系不活化標的遺伝子変異を通じたアポトーシス逸脱機構の寄与、3)これら病理形態学的発癌過程における細胞不死化成立時期の解析を行い、消化管癌の細胞不死化機構におけるDNAミスマッチ修復系不活化の関与を分子病理学的に明らかにすることを目的としている。 本年度は、大腸癌手術検体208例をマイクロサテライト解析とp53免疫組織化学により(1)mutator-type、マイクロサテライト不安定性腫瘍;(2)suppressor/p53-type、強いp53蓄積あるいはD17S250(p53 locus)にヘテロ接合性喪失を示すマイクロサテライト安定性腫瘍;(3)unclassified、(2)以外のマイクロサテライト安定性腫瘍の三者に亜分類したところ、mutator-typeは25例(12%)、suppressor/p53-typeは39例(19%)、unclassifiedは141例(69%)であった。これらの症例についてテロメラーゼ触媒サブユニットhTERT mRNAに対するオリゴヌクレオチドプローブを用いたin situ hybridizationを施行したところ、hTERTの高発現はmutator-typeで7例(32%)、suppressor/P53-typeで27例(69%)、unclassifiedで78例(55%)とmutator-typeで有意(P=0.0186)にその頻度が低かった。これは、マイクロサテライト不安定性を有したmutator-typeの大腸癌でテロメラーゼの活性化がまれな現象であり、これらの腫瘍ではテロメラーゼ非依存性の細胞不死化が成立している可能性を示唆している。また、通常パラフィン包埋病理検体を用いたテロメア長定量化システムを確立した。
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Research Products
(6 results)