2002 Fiscal Year Annual Research Report
マラリア原虫メロゾイトのロプトリー蛋白質の構造解析と赤血球結合能に関する研究
Project/Area Number |
14370084
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
鳥居 本美 愛媛大学, 医学部, 教授 (20164072)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 修 愛媛大学, 医学部, 助手 (50325370)
坪井 敬文 愛媛大学, 医学部, 助教授 (00188616)
|
Keywords | 感染症 / 熱帯病 / マラリア / メロゾイト / 侵入 / 遺伝子 / 寄生虫 |
Research Abstract |
マラリア原虫の赤血球への侵入型であるメロゾイトの先端部には、分子量155kDa,140kDa,110kDaの蛋白質からなるロプトリー蛋白質複合体(RhopH1/2/3)が局在する。これまでの研究から、少なくとも熱帯熱マラリア原虫においては、RhopH複合体が赤血球膜に親和性を有することが示唆されている。しかし、RhopH1/2/3の分子がどの様に赤血球膜への接着に関与するかの分子機序は全く解明されていない。本年度は、RhopH複合体のうち未だに構造が判明していないRhopH2の遺伝子解析を行った。ネズミマラリア原虫(Plasmodium yoelii)のPyRhopH2に対する単クローン抗体(#25)を用いてアフィニティ精製した蛋白質をSDS-PAGEにて分離し、リジルエンドペプチダーゼ処理した後に、部分アミノ酸配列の解析を行った。このアミノ酸配列を基にP.yoeliiゲノムショットガン・データベースを検索し、またはアミノ酸配列を基に作成したPCRプライマーを用いてPyRhopH2遺伝子をクローニングした。遺伝子クローニングには遺伝子増幅装置(マスターサイクラー)および多用途小型遠心器(CF16RX)を用いた。次いで、この遺伝子のmRNAの塩基配列の解析を行った。その結果、PyRhopH2をコードする遺伝子は4.09kbで、10個のエクソンと9個のイントロンからなることが判明した。また、熱帯熱マラリア原虫のRhopH2は第9染色体上の単一の遺伝子によってコードされ、分裂体において転写されることが明らかになった。両種のRhopH2をコードする遺伝子から予想されるアミノ酸配列を比較すると、高い類似性を示し、42%のアミノ酸が一致し、73%が類似のアミノ酸であった。特に18個のシステインのうち17が一致していた。現在、熱帯熱マラリア原虫のRhopHの組換え蛋白発現用プラスミドベクターの構築を行っている。
|
Research Products
(1 results)
-
[Publications] Ling IT, Kaneko O, Narum DL, Tsuboi T, et al.: "Characterization of the rhoph2 gene of Plasmodium falciparum and Plasmodium yoelii"Molecular and Biochemical Parasitology. 127 (1). 47-57 (2003)