2002 Fiscal Year Annual Research Report
機能構造の解明による新しいHIVコレセプターの同定
Project/Area Number |
14370099
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
清水 宣明 群馬大学, 医学部, 講師 (70261831)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 淳 群馬大学, 医学部, 教務員 (20321953)
星野 洪郎 群馬大学, 医学部, 教授 (00107434)
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Keywords | HIV / コレセプター / 細胞指向性 / GPCR |
Research Abstract |
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)とサル免疫不全ウイルス(SlV)は、CD4(主レセプター)とコレセプターを介して細胞に感染する。コレセプターはHIVの細胞指向性決定因子でもあるため、AIDSの複雑な病態と密接に関係する。いくつかのG蛋白質共役レセプター(GPCR)がHIV/SIVのコレセプターとして機能する。GPCRは、特異性を異にする300以上のレセプターからなる同族分子である。我々は、リガンド未同定GPCRであるGPR1が、HIVの脳血管周細胞指向性を決定するコレセプターであることを見いだした(Shimizu, N., et al. Virology 73, 5231-5239, 1999)。現在までに、ケモカイン・レセプターを中心にして近縁の分子系統関係を持つ約20種類のGPCRがコレセプターとして機能するとの報告がある。どのコレセプターを利用するかは、HIV/SIVの外被糖蛋白質(Env)のアミノ酸配列に依存する。HIV/SIVは変異性が高いため、未同定のコレセプターが多数存在する可能性が高い。本研究では、GPR1を用いてコレセプター機能に重要なアミノ酸配列モチーフを解析することにより、新しいコレセプターを同定することを目的とする。 1.GPR1の変異体の作製 コレセプター機能に重要な領域を同定するために、GPR1の細胞外領域の点突然変異体を作製した。発現ベクターpMX-PuroにクローニングしたGPR1遺伝子にPCR法を用いて変異を導入し、レトロウイルス・ベクターを用いてヒトグリオーマ由来CD4発現細胞株NP-2/CD4に導入した。 2.GPR1の機能領域の同定 GPR1変異体を発現させたNP-2/CD4細胞のHIV/SIV感染感受性を検討した。アミノ末端細胞外領域の4つのチロシンを含む領域が、コレセプター機能に重要であった。また、最もアミノ末端側のチロシンが、コレセプター機能に必須であった。次年度においては、機能領域の更なる絞り込みを試みる。 3.新しいコレセプターの同定 現在までに知られているコレセプターのほとんどは、アミノ末端細胞外領域にチロシンを持つ。2.の結果からもコレセプター機能におけるチロシンの重要性が示唆されたため、アミノ末端細胞外領域にチロシンを含むGPCRを発現ベクターpCX-bsrにクローニングし、NP-2/CD4細胞に導入してHIV/SIV感染感受性を検討した。ケモカイン・レセプターであるCCR9、CCR11、XC、およびD6レセプターが、HIVあるいはSIVのコレセプターとして機能することを見いだした。次年度においては、ケモカイン・レセプターと近縁関係を持たないGPCRについても、広くコレセプターを探索する。
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