2004 Fiscal Year Annual Research Report
インフルエンザウイルス血球凝集素上の著しいアミノ酸変化を許容する分子基盤の解析
Project/Area Number |
14370104
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Research Institution | NAGOYA CITY UNIVERSITY |
Principal Investigator |
中島 捷久 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (40012778)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
信澤 枝里 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (90183904)
飯塚 成士 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (30222821)
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Keywords | インフルエンザウイルス / 血球凝集素 / 進化 / アミノ酸変異 |
Research Abstract |
抗原変異を可能にするアミノ酸変異のありかたそのものを実験的に検討し、HA蛋白質の構造と機能の関係を明らにするため、私たちはアミノ酸変異の研究方法を確立した。HA1の変異を考える場合には、約300アミノ酸部位が変異の対象部位となる。変異全般では20の300乗の変異がある。しかしある基準HAをもうければそこからの変異はまず、1アミノ酸変異であり、その変異数はたかだか7x300=2100である(1塩基変異でのアミノ酸変異は多くて7個)。この変異が許容変異と非許容変異とに大別され、その性質が静的な基盤構造である。具体的には1アミノ酸変異のタンパク質に及ぼす影響を網羅的に解析することが静的な基盤構造解析である。アミノ酸変化が加算したことによって基盤構造そのものが変化するが、それがどのような変化なのかを解析する事が基盤構造の動的解析となる。このような解析方法をHAタンパク質に応用した。その成果として1)抗原領域内は許容、非許容域に細分されていること、非許容部位は構造的に内側にあることを明らかにした。2)ランダムに1アミノ酸変異がおこった場合許容される変異は約50%である。3)アミノ酸一個が付加されるたびに基準HAで許容されていたアミノ酸変異は0.5%の確率で非許容になり、逆に0.5%の確率で非許容変異が許容変異となる。このことからHAタンパク質はアミノ酸変異の付加によって不可逆的に構造変化をおこすことが示され、HAのサブタイプへの分岐の機構が明らかになった。
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Research Products
(4 results)