2004 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚障害者の受療拒否解消のための手話アニメーションによる対話システムの開発
Project/Area Number |
14370122
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
森本 一成 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 助教授 (00127169)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒川 隆夫 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (00029539)
佐藤 哲也 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助教授 (20252546)
西山 勝夫 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (60077691)
垰田 和史 滋賀医科大学, 医学部, 助教授 (90236175)
北原 照代 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (20293821)
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Keywords | 手話アニメーション / 手話通訳者 / 聴覚障害者 / 頚肩腕障害 / 手話文法 / 受療拒否 |
Research Abstract |
手話通訳者の手指・身ぶり動作の運動計測値に基づいた手話アニメーションの改善を行い、それのわかりやすさの評価実験を聴覚障害者30名を対象として行い、正答率の低かった手話アニメーションの正答率を高めることができた。しかし、依然としてわかりにくい手話アニメーションがあり、その原因については解明中であるが、動きのキレや表情の不足に問題が残されていると推定している。手話文法の解析と手話辞書の構成に関しては、手残りや屈折といった手話に特徴的な部分について規則性を見い出すための分析を行い、手話アニメーションの規則合成のための手話文法をインプリメントしたシステムを構築した。なお、このシステムの医療現場への導入に関して、医療で要求される手話に関する知見を医師の立場から検討した。なお、手話通訳を生業としている人が手話を行っている時の赤血球の量を間接測定し、手話通訳者や聴覚障害者の負担の指標になることを明らかにした。 滋賀県下医療機関における聴覚障害者受診時のコミュニケーション上の配慮や工夫に関する現状を把握することを目的に、県下1335医療機関を対象に質問紙調査を郵送法にて実施した.聴覚障害者の来院時における工夫や配慮は、全有効回答数の15%での実施であった。その中で最も多かった回答は「緊急時のFAX対応」と「検査時の視覚的にわかる合図」であった。同様に、コミュニケーション手段に関する工夫や配慮についても、全有効回答数の15%でしか実施されていなかった。最も多かった回答は「筆談で対応する職員がいる」で62%、次に「少しでも手話を使える職員がいる」が11%であった。セレクションバイアスを勘案すると、滋賀県下の全医療機関の状況が本調査結果を上回っていることは考え難く、聴覚障害者が安心して受療できる環境にはないことが明らかになった。このことは本研究で提案している手話アニメーションが医療現場における情報保証の一助となる可能性と必要性を裏付けるものである。
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