2004 Fiscal Year Annual Research Report
食品成分を用いた癌の「遺伝子調節化学予防法」の開発に向けての基礎的研究
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14370126
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
酒井 敏行 京都府立医科大学, 医学研究科, 教授 (20186993)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
曽和 義広 京都府立医科大学, 医学研究科, 講師 (70315935)
松崎 洋一郎 京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (70282522)
吉田 達土 京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (80315936)
神山 順 明治鍼灸大学, 鍼灸学部, 講師 (20257538)
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Keywords | 酪酸 / p18 / p19 / DR5 / TRAIL / インドール-3-カービノール / TPA / p15 |
Research Abstract |
食物繊維の代謝産物である酪酸やトリコスタチンAは、ヒストン脱アセチル化(HDAC)阻害剤として知られているが、p16ファミリーのp18、p19遺伝子を活性化することにより細胞増殖(癌化)の抑制を起こすことを明らかにした。また、p53下流遺伝子のDR5の発現を誘導することを見い出した。DR5のリガンドであるTRAILと酪酸の併用は相乗的に癌細胞にアポトーシスを誘導した。しかしながら、この併用は正常血球細胞に対してはほとんどアポトーシスを誘導せず、癌細胞特異的に殺細胞効果を持つ可能性を示した。HDAC阻害剤は、骨髄細胞の増殖を抑制することなく、癌細胞に特異的に作用することが示され、現在、安全な「癌の化学予防剤」としても注目されている。 また、ブロッコリーやカリフラワーなどのアブラナ科の野菜に含まれる成分であるインドール-3-カービノールが、p15遺伝子をプロモーターを介して活性化することを見い出した。ブロッコリーやカリフラワーなどの野菜の摂取は、疫学的研究によって、多くの癌のリスクを下げることが明らかとなっている。我々の結果は、これらの野菜のがん予防効果にp15の活性化が関与している可能性を示唆している。 さらに、環境発癌因子であり、代表的な発癌プロモーターであるTPAがp18遺伝子の発現を抑制し、ヒト癌細胞の増殖を促進することを明らかにした。このTPAの作用は、プロテインキナーゼCの活性化を介する。さらに興味深いことに、抗発癌プロモーター物質で、食品中に含まれるグルタミンやゲニステインによって、そのTPAによる作用が阻害されることが判明した。この結果は、TPAを始めとする発癌プロモーターを用いた動物発癌実験系が、ヒト発癌において中心的役割を果たすRB遺伝子の失活に至る経路と関連があることを示唆している。
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Research Products
(7 results)