2003 Fiscal Year Annual Research Report
循環器疾患の発症予防を目的とした睡眠呼吸障害のスクリーニングに関する疫学研究
Project/Area Number |
14370132
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
谷川 武 筑波大学, 社会医学系, 助教授 (80227214)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 明彦 大阪府立健康科学センター, 健康開発部, 部長
立花 直子 大阪府立健康科学センター, 健康開発部, 医長
磯 博康 筑波大学, 社会医学系, 教授 (50223053)
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Keywords | 睡眠呼吸障害 / 地域住民 / 疫学 / 高血圧 / BMI / 睡眠時無呼吸症候群 |
Research Abstract |
平成13年から15年までに間に秋田県I町、茨城県K町、大阪府Y市M地区の基本健康診査において、40歳〜69歳(平均59歳)の男性1,421人を対象に睡眠呼吸障害を検出する目的でパルスオキシメトリーを実施した。同集団をODI値で3群(ODI4%値で3未満、3〜10未満、10以上)に分けて血圧値を比較した結果、年齢・肥満度、アルコール摂取量、喫煙状況を調整した共分散分析において、ODIと最大血圧値(132、133、136mmHg;低位群、中位群、高位群、p=0.02)、最小血圧値(81、83、83mmHg;同、p=0.04)との間に有意な関連が認められた。また、SBP≧160または、DBP≧95または、降圧薬服薬者高血圧者を高血圧者と定義した時、高血圧者の有病率は、低位群よりも高位群で有意に高かった(オッズ比および95%CI:1.68[1.13-2.52])。したがって、SDBの程度は肥満等の交絡因子と独立して血圧と関連することが示された。 さらに、地域住民(秋田県I町、茨城県K町、大阪府Y市M地区、高知県N町)男性170人(40〜69歳、平均52歳)を対象として、検診に併せて睡眠中の動脈血酸素飽和度(SpO2,%)の持続測定、及び24時間血圧の測定を行った。年齢を調整した共分散分析の結果、睡眠時のODIが5以上の者はそうでない者に比べて肥満度(24.8vs23.1kg/m^2)、24時間平均最大血圧値(131vs126mmHg)、活動時平均最大血圧値(139vs134mmHg)が有意に高かった。また、これらの関連は肥満度が高い場合に特に強くみられた。 以上の結果から、一般地域住民において睡眠呼吸障害が肥満度等の交絡因子と独立して血圧値と関連することが示された。したがって睡眠呼吸障害のスクリーニングを地域保健において推進し、睡眠呼吸障害の早期発見・早期治療および睡眠呼吸障害の軽減を図る保健指導を実施することは、高血圧の予防・管理に寄与すると考えられる。
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Research Products
(12 results)
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[Publications] Tanigawa T, et al.: "Associations between sleep-related oxygen desaturation and blood pressure levels in the community-dwelling Japanese"Sleep. 26(Suppl). A247 (2003)
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[Publications] 谷川 武: "睡眠に関する保健指導の実際,いばらき睡眠プログラム保健指導の手引き"茨城県健康科学センター. 22-38 (2003)
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[Publications] 谷川 武: "職場における睡眠時無呼吸症候群のスクリーニングの重要性-健康増進と安全向上に睡眠面からできること-"労働衛生管理. 14. 25-32 (2003)
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[Publications] 谷川 武他: "地域・職域における睡眠呼吸障害のスクリーニングの実際"日本呼吸管理学会誌. (印刷中). (2004)
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[Publications] Tachibana N, et al.: "Japanese versus USA clinical services in sleep medicine"Sleep Biol Rhythm. 1. 215-220 (2003)
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[Publications] Tachibana N, et al.: "Prevalence and clinical characteristics of restless legs syndrome among Japanese industrial workers"Neurology. 60(Suppl). A38 (2003)
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[Publications] Yao M, Tachibana N, et al.: "Cephalometric variables of sleep-disrodered breathing among Japanese men and women in a sleep check-up clinic"Sleep. 26(suppl). A216 (2003)
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[Publications] 八尾正之, 立花直子: "地域医療における睡眠医学とその問題点"保健婦雑誌. 59. 616-622 (2003)
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[Publications] 八尾正之, 立花直子他: "頭蓋顔面携帯と睡眠時無呼吸の解析"日本公衆衛生雑誌. 50(特別付録). 173 (2003)
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[Publications] 工藤美奈子, 大平哲也, 谷川武他: "地域住民における睡眠時酸素飽和度降下と24時間血圧との関連"日本公衆衛生雑誌. 50(特別付録). 527 (2003)
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[Publications] 谷川 武: "睡眠時無呼吸症候群スクリーニングハンドブック"厚生科学研究所. 183 (2004)
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[Publications] Tanigawa T, et al.: "Clinical and occupational medicine for workers : Its diagnosis and treatment of faintness, dizziness, and syncope. Nakashima Y (Ed)"Backhuys Publishers(印刷中). (2004)